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2024年はマイコプラズマ肺炎に注意 2024年はマイコプラズマ肺炎に注意
国立感染症研究所の2023年第51週(12/18-12/24)速報データによると、マイコプラズマ肺炎の全国の定点あたりの報告数は0.12。低調が続いていますが、前週の0.07から微増しています。

【2024年】1月に注意してほしい感染症!インフルエンザ年明けも引き続き注意 コロナは増加予測新たな流行株への置き換わりに注視必要 要注意はマイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、新型コロナウイルス肺炎と同じく非定型肺炎に分類され、特に発病初期の症状や血液検査あるいは胸部レントゲンの所見では、区別がつかないことも珍しくありません。マイコプラズマ肺炎は、別名「オリンピック病」と言われるほど、4年に1度のオリンピックの年に世界的に流行すると言われています。日本においても、2016年リオオリンピックの年に流行が見られますが、4年後の2020年の東京オリンピック開催予定年及び開催年となった翌2021年に、大きな流行はみられませんでした。しかし、2024年は、パリオリンピック・パラリンピック開催が予定されています。複数メディアの報道によると、中国では、2023年5月以降、マイコプラズマ肺炎とみられる患者数の増加が始まり、8月から9月以降は、特に6歳以下の小児で多く発生しているとされています。中国では、これまで肺炎マイコプラズマのうち、マクロライド系抗菌薬に耐性を示すものの割合が高いことが知られています。また、北京市CDC(疾病予防管理センター)によると、2023年に報告されている肺炎マイコプラズマにおいても、遺伝子変異により、アジスロマイシンに対して、一定の薬剤耐性を持つ可能性が指摘されています。マイコプラズマ肺炎は、医療機関で短時間のうちに診断をすることが可能であり、また新型コロナウイルスと違い、ある種の抗菌薬の投与が有効な感染症です。発熱があり、咳が続き、マイコプラズマ肺炎の可能性が疑われる場合は、医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「国内のマイコプラズマ肺炎の状況ですが、今のところ、報告数が少ないながらあがっているものの流行はみられていません。しかし、増えているようにも見えるので、不気味な動きです。年明けから、増加していくのか注視が必要だと考えています。今後、増えてくるようでしたら要注意と言えるでしょう。流行時は、夏に増えて、12月頃まで流行と言うのが一つの流れです。しかし、海外、特に中国の状況などをみると、今年は、国内でも流行があるのではないかと予測しています。マイコプラズマ肺炎は、咳や熱が出て、倦怠感を伴う症状が現れることがあります。咳は、他の症状が落ち着いた後も長く続き、1ヶ月近く続く方もいらっしゃいます。多くの方の症状は軽いですが、中には肺炎を引き起こす場合もあります。同僚の歯科医師も、人工呼吸器の挿管が必要な重い肺炎になったケースもありました。肺炎になりやすい感染症として認識しておくのといいと思います」としています。

治療

抗菌薬投与による原因療法が基本ですが、「肺炎マイコプラズマ」は細胞壁を持たないために、β-ラクタム系抗菌薬であるペニシリン系やセファロスポリン系の抗生物質には感受性はありません。蛋白合成阻害薬であるマクロライド系(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)が第1選択薬とされてきましたが、以前よりマクロライド系抗菌薬に耐性を有する耐性株が存在することが明らかとなっています。近年その耐性株の割合が増加しつつあるとの指摘もあります。最初に処方された薬を服用しても症状に改善がみられない場合は、もう一度医療機関を受診していただくことをお勧めします。

診断

特異的IgM抗体迅速検出キットが開発され、臨床現場において活用されてきています。幼児、学童の初回感染例では発病1週間以内では陰性を示すことが多く、また単一血清で高い抗体価であっても過去の感染の既往を示している可能性を否定できません。最近は、PCR法やLAMP法による遺伝子検出が次第に多くの検査機関で実施されるようになってきています。

引用
国立感染症研究所「マイコプラズマ肺炎とは」
取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏