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今後の感染動向に注意 今後の感染動向に注意
 厚生労働省が9月1日に発表した2023年第34週(8/21-27)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は19.07。前週から約1.2ポイントの増加となりました。東日本を中心に、報告数が増加しており、東北地方は軒並み20を超える数値となっています。

【2023年】9月に注意してほしい感染症! 専門医「コロナ減少傾向に入るか見極め必要」 季節外れの流行の感染症も… 要注意は梅毒・腸管出血性大腸菌感染症

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「東日本を中心に新型コロナウイルス感染症が流行しているのが、気がかりです。せっかく、感染者数が減り始めたと思った矢先でしたので、残念でなりません。新型コロナは、8月下旬から減ると予測していましたが、新たな変異株EG.5の出現と置き換わりが進んでいることも、増加の一因である可能性もあります。9月は、例年、減少傾向にありましたが、安心はできない状況です。今後、感染の波が西日本にも及ぶことが懸念されます。現在、勤務先の病院の入院患者は、落ち着きをみせ始めました。その一方で、クラスターが発生した大阪府内の病院の話も耳にします。まだ注意が必要です」としています。

新たな変異株への置き換わりも

 国立感染症研究所は、第 31 週(7/31-8/6)新型コロナウイルスのゲノムサーベイランスで、国内で流行中の種類は、XBB.1.16 系統と EG.5.1 系統が最も多く、民間検査機関のデータでも、XBB.1.16 系統が 23.5%、EG.5.1 系統が 21.9%の順となったと発表しています。

 『EG.5』について、WHO(世界保健機関)は、「注目すべき変異株」に指定しており、今後、日本国内でも、増加していくことが推定されています。

 また、WHOは、2023年8月17日に、30ヶ所を超えるスパイク変異を持つ『BA.2.86』を新たに「監視中の亜系統」に認定しています。

感染経路

 新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ、会話などのときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。

発熱や咳などの症状がある場合は?

 発熱や咳など体調に異変を感じたら、まず抗原定性検査キット(医療用または一般用検査キットとして国が承認したもの)でセルフチェックし、陽性の場合は、一定期間は外出を控えることが推奨されます。体調が悪化した時などは、自治体が設置する新型コロナ相談窓口まで速やかに相談してください。65歳以上の方や基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方など重症化リスクを有している方、お子さんや妊娠している方などは、外来対応医療機関を受診してください。

他人にうつすリスクは?

 新型コロナウイルス感染症では、鼻やのどからのウイルスの排出期間の長さに個人差がありますが、発症2日前から発症後7〜10日間は感染性のウイルスを排出していると言われています。発症後3日間は、感染性ウイルスの平均的な排出量が非常に多く、5日間経過後は大きく減少することから、特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことに注意してください。

家族が感染症にかかったらどうすれば?

 家族や同居している方が新型コロナ感染症にかかったら、可能であれば部屋を分け、感染された家族の世話はできるだけ限られた方で行うことなどに注意して下さい。そのうえで、外出する場合は、新型コロナにかかった方の発症日を0日として、特に5日間は自身の体調に注意してください。7日目までは発症する可能性があります。


引用
国立感染症研究所 新型コロナウイルス感染症サーベイランス週報第32週
31週のゲノムサーベイ結果

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏