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国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2023年33週(8/14〜20) 速報データによると、この1週間の全国のインフルエンザ患者定点あたり報告数は1.01。これまでは九州を中心に西日本で報告数が多い状態が続いていましたが減少傾向に。一方、近畿・中部地方を中心に東日本で増加傾向にあります。
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今年は1年を通して、患者が発生
冬の感染症であるインフルエンザは、例年夏には大きく感染者数を減らしてきました。そして秋の終わりに定点あたり報告数が1を超えると流行期入り、10を超えると注意レベル、30を超えると警報レベルというように、注意喚起がされてきました。しかし今年は、第6週(2/6〜12)に12.94にピークとなりましたが、その後夏になっても例年は流行期入りの目安であった報告数1を超えるという、今までにはない状態が続いています。感染症の専門医は・・・
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「インフルエンザの報告数がくすぶり続け、なかなか減り切りません。インフルエンザはヒトからヒトにうつりますので、学校などの夏休みが終わり、集団生活が始まると、感染の機会が増えます。この時期に一定の感染者がいるということは、流行開始が早まることも考えられるので、注意が必要です。早ければ、10-11月頃に、流行開始が前倒しされ、来シーズンの患者数は、先シーズンと比較し、大きく増加するのではないかと危惧しています」としています。インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴です。あわせて普通の風邪と同じように、ノドの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。子どもではまれに急性脳症を、高齢の方や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎を伴うなど、重症になることがあります。インフルエンザの予防
インフルエンザは、まずかからないことが重要です。予防には、外出後の手洗い、適度な湿度の保持(50〜60%)、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、人混みや繁華街への外出を控える、そしてインフルエンザワクチン接種などが有効です。ワクチンは毎年10月頃から接種が始まります。ワクチンの効果が現れるのは接種から2週間程度かかるとされているので、流行前に接種を済ませることが重要です。インフルエンザワクチンは13歳以上の方は1回接種、13歳未満の方は2回接種と定められています。接種すればインフルエンザに絶対かからないというものではありませんが、発病の予防や発病後の重症化に関して一定の効果があるとされています。インフルエンザをうつさない
そして感染した場合は、他の人にうつさないようにすることが重要です。一般的に、インフルエンザは発症前日から発症後3〜7日間は鼻やノドからウイルスを排出するといわれています。その期間は外出を控える必要があります。排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています。排出期間の長さには個人差がありますが、咳やくしゃみなどの症状が続いている場合には、不織布製マスクを着用するなど、周りの方へうつさない配慮をしましょう。新型コロナとの同時流行の可能性も
未だに流行が続く新型コロナウイルス感染症。新たな変異株への置き換わりが進むなど、再び流行拡大の兆しもあります。安井医師は、「昨冬は3年ぶりのインフルエンザの流行が起こり、同時に新型コロナも流行しました。今年の冬もインフルエンザ・新型コロナの同時流行の可能性も十分に考えられます。特にインフルエンザは、昨冬以上の大きな流行になる可能性がありますので、引き続き予防に留意していただければと思います」としています。
引用
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2023年33週(8/14〜20)、
厚生労働省HP:インフルエンザQ&A
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2023年33週(8/14〜20)、
厚生労働省HP:インフルエンザQ&A
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏