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厚生労働省が7月28日に発表した2023年第29週(7/17〜23)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は13.91。前週から約26パーセント増加しています。5月8日から感染症法上の位置付けが5類感染症になり、発生動向の発表方法が変わりましたが、変更後初めて定点当たり報告数が発表された第19週(5/8〜14)以来、10週連続して増加しています。
【2023年】7月に注意してほしい感染症! 専門医が予測 新型コロナ大きな流行 RSは東日本へ 1位コロナ 2位RS 梅毒は要注意継続
沖縄、香川を除く45都道府県で増加!
都道府県別で見ると、沖縄は3週連続で減少しているものの、沖縄と香川を除く45都道府県で増加しています。依然として西日本の報告数が多く、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄、愛媛、岐阜で20を超えています。医療機関、高齢者施設ではクラスターが発生
感染症に詳しい、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「私が勤務する病院でも毎日のように新型コロナに感染している方が入院していますが、別の病気で入院された方が検査をしてみると陽性だったという例も多くなっています。医療従事者の感染も多くなり、院内クラスターも発生も耳にしますし、ほかにも高齢者施設などでクラスターが発生しているということも聞いています。現在はまだ医療ひっ迫という状況ではありませんが、今後さらに患者が増えるようであれば、医療全体への影響も懸念されます」と話しています。発熱や咳などの症状がある場合には、どうすれば?
発熱や咳がある場合は、新型コロナウイルスの感染が疑われます。65歳以上の方や、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方など重症化リスクを有している方、お子さんや妊娠している方などは、外来対応医療機関を受診してください。それ以外の方は、体調に異変を感じたら、まずは抗原定性検査キットでセルフチェックをし、陽性の場合は一定期間外出を控えることが推奨されています。ただし、体調が悪化した時などは、自治体が設置する新型コロナ相談窓口や外来対応医療機関に速やかにご相談ください。検査キットは医療用、または一般用検査キットとして国が承認したものを使ってください。もしもの時のために常備をしておくと安心です。
陽性だった場合、どのくらい外出を控える?
・外出を控えることが推奨される期間は、発症日を0日目として、5日間は外出を控えてください。発症後5日間が特に他人に感染させるリスクが高いとされています。・5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰やノドの痛みなどの症状が軽快し24時間程度が経過する前は、外出を控え様子を見ることが推奨されています。なお、症状が重い場合はこの限りではなく、医師に相談してください。
・また、家族の方の感染を防ぐために、可能であれば部屋を分け、感染した家族の世話はできるだけ限られた方が行うことが望ましいです。
治った後もウイルスの排出が!
さらに、10日間が経過するまではウイルス排出の可能性があることから、不織布マスクを着用したり、高齢者などハイリスクの方との接触は控えるなど、周りの方へうつさないような配慮が必要です。発症後10日を過ぎてもまだ咳やくしゃみなどの症状が続いている場合には、マスクの着用など咳チケットを心がけてください。マスクには感染予防の一定の効果が
マスクに関しては5類感染症になって以降、着用に関しては個人の判断に委ねられています。しかし、マスクには一定の予防効果があるという研究があり、マスクを着用している人の週あたり感染リスクが、着用していない人の0.84倍に低下することが知られています。さらに観察期間を2週にすると、マスクを着用している人の感染リスクは、マスクを着用していない人の0.76倍に低下すると推定されます。これは、マスクを着用することによって、自分が感染しないための効果に相当します。安井医師は、「5類感染症になって、マスクをしない方が増えたことが流行の一因ということも十分考えられます。特に医療機関や高齢者施設など、重症化リスクが高い方などに会うときには、マスクの着用をしていただければと思います」としています。
引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について令和5年第29週(7/17〜23)、新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について令和5年第29週(7/17〜23)、新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏