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呼吸状態に注意 呼吸状態に注意
 国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2023年28週(7/10〜16)によると、RSウイルス感染症の患者の定点あたり報告数は3.16。前週から減少したものの、依然、高い水準にあります。RSウイルス感染症は、全国各地で流行しており、都道府県別に見ると、新潟(5.28)・宮城(5.22)・三重(7.27)・島根(6.65)・愛媛(6.38)・大分(8.28)・福岡(5.94)・沖縄(4.97)などで、高い値を示しています。

【2023年】7月に注意してほしい感染症! 専門医が予測 新型コロナ大きな流行 RSは東日本へ 1位コロナ 2位RS 梅毒は要注意継続

 一部、 ピークアウトの兆候がみられる地域もありますが、引き続き、注意が必要です。

 今回、『感染症・予防接種ナビ』に寄せられたのは、沖縄県の0歳のお子さんの経験談です。

沖縄県・0歳

保育園でRSが流行っていました。RSになる前からお腹ゆるゆる。
7月6日頃から発熱無しの鼻水が出始めました。
7日少し咳をし始め黄色い鼻水。発熱なし。少しゼーゼー。喘息持ちなので風邪を引いただけでもゼーゼーしてしまいます。
8日 咳と鼻水、ゼーゼー。発熱なし。
9日 38.2℃の発熱。陥没呼吸とゼーゼーが酷く呼吸が苦しそうで寝付けず救急外来へ。そこでRSウイルスと診断。酸素濃度は94。心拍180。2回吸入し鼻水も取ってもらい呼吸音、酸素が落ち着いた為、帰宅。
10日 朝の小児科を受診。酸素濃度は良好。心拍は変わらず180。陥没呼吸あり。ゼーゼーも耳を澄まさずとも聞こえる程。RSウイルスは4~5日目が1番ピークだと言ってました。
(医師から)「3日目で、この呼吸はちょっと危険だなぁ~。入院してもいいけど、しなくてもいいけどどうする?」と言われ一時帰宅。夕方、やはり苦しそうなのと また救急に行くくらいなら入院させようと思い小児科受診。入院させることにしました。レントゲン、血液検査 異常なしでしたがRSからの細気管支炎という診断。脱水防止のために点滴。下痢が酷くなる。本人は元気なのが幸いでしたが食欲もミルクもいつもより取らず。
10日の夜、寝ている間に酸素濃度が下がり酸素投与。1日4回の吸入、吸引。
11日から食欲戻りミルクも飲めるようになったので点滴が外れました。発熱したり平熱に戻ったりしました。
12日 ゼーゼーと鼻水は変わらず。寝ている間の酸素が安定しない。平熱。咳あり。
13日 ゼーゼーが落ち着いてきたが鼻水変わらず。平熱。やはり寝ている間の酸素が安定しない。咳あり。
14日 ようやく酸素が安定。また発熱。時間が経つと平熱に。鼻水は変わらず。咳あり。
15日 酸素が安定したので退院。鼻水変わらず。少し咳。熱なし。
16日(今)発熱39.2℃ 鼻水変わらず。少し咳。未だに下痢がつづいています。うちの子の場合、咳はそんなに酷くないです。鼻水とゼーゼーが酷いです。退院してからまた悪化している気がします。家でも吸入、吸引しています。
私は家で看病していた訳では無いので参考になるかは分かりませんが…

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「お子さんだけでなく、保護者の方もしんどかったろうなぁと思います。血中酸素濃度が94でぜえぜえと息をしているなら、即入院のレベルです。新型コロナウイルス感染症で入院される方は、94を切ったら入院治療になります。RSウイルス感染症は、乳幼児は、急激に状態が悪くなるケースが見受けられます。今回のケースは、ぜえぜえ息をしたり、陥没呼吸など危ない状態と思われます。お子さんは、睡眠中は、血中酸素濃度が下がるケースもありますが、何より、保護者の方もお子さんの状態が気がかりでじゅうぶんな睡眠がとれなかったのでは無いかと気がかりです。今回、気になったのは、医学的な知識をじゅうぶんお持ちではない可能性のある方が、入院治療するかどうかの判断を迫られたことです。小児科のお医者さんは、診察の経験が豊富な先生も多いと思います。診察も多くご多忙とは思いますが、現在、お子さんがどのような状態にあるのか、保護者の方の不安をあおらないよう、また判断しやすいよう導いてあげてほしいと思います。また、RSウイルス感染症は、発症をきっかけに、ぜん息になるお子さんもいらっしゃいます。保護者の方は幼稚園・保育園などの流行状況や地域の流行状況に注意するようにしてください」としています。

予防にはマスク着用・手指衛生を

 RSウイルス感染症には特効薬はなく、感染した場合、治療は基本的には症状を和らげる治療=対症療法を行います。またワクチンはなく、飛沫感染と接触感染に対する予防が有効です。咳などの呼吸器症状がある場合は、飛沫感染対策としてマスクを着用して0歳児、1歳に接することが大切です。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系消毒剤などで消毒し、流水・石鹸による手洗いか、アルコール製剤による手指衛生が重要です。

周囲からの感染に注意

 重症化しやすい乳児や基礎疾患のある子どもにRSウイルスをうつすのは、まわりの大人やきょうだいです。RSウイルスは生涯に何度も感染しますが、大人にとってはただの風邪か、無症状の場合もあります。特にRSウイルス感染症が流行している地域では、自分が感染している可能性もあると思って、乳幼児に接してください。


取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏