半年以上前に更新された記事です。

新型コロナ流行に要警戒 新型コロナ流行に要警戒
 厚生労働省が2023年7月14日に発表した第28週(7/10〜16)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」によると、全国の定点当たり報告数は11.04と前週の9.14から約21パーセント増加しています。

 東京都では、8.25(前週7.58)と前週と比べ約10%増えました。

 また、大阪府では、10.22(前週7.87)と前週比で約30%増えており、第20週以降9週連続での増加となりました。5月8日から感染症法上の位置付けが5類感染症になり、発生動向の発表方法が変わりましたが、変更後初めて定点当たりの報告数が10を超えました。

 中四国・近畿・北陸・東海などでは、梅雨明けが発表されましたが、今後、患者数が大きく増えるおそれもあり、注意が必要です。

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「現在、新型コロナで入院される方のペースは、1日に1人程度で、コンスタントに入院があります。しかし、退院までの期間が短い印象です。そのため、満床にはなっていません。診察した方で肺炎の症状がある方は、少ないです。しかし、気がかりなのが、免疫抑制剤を使われている方は、体内からのウイルス排出量が、なかなか減少しないことです。周囲に合併症のリスクを抱える方がいらっしゃるのであれば、感染対策は、特に気をつけて頂きたいと考えています。また、中国地方や近畿・東海地方などで、梅雨明けが発表されました。本格的な夏を迎えるにあたり、今後、感染者の増加に注意してください。沖縄は、ピークアウトの兆候もありますが、その他の地域は、まだまだこれからの増加し、8月下旬にピークを迎えるのではないかと予測しています」としています。

XBB系統が流行

 現在流行しているのはXBB.系統の変異株がほとんどと言われています。この変異株の特徴は、感染やワクチンによって免疫を獲得していても、それをすり抜けて感染する能力が高いです。以前に新型コロナウイルス感染症に感染したことがあっても、またワクチンを接種していても感染・発症する可能性があるということが、感染拡大の一因になっているのではないかとみられています。

夏の感染対策のポイント

 感染対策としては従来どおり、「換気」「手洗い・手指消毒」が有効です。冷房を入れていても換気を心がけ、換気扇も活用してください。ウイルスは手から目や鼻、口に入ることがあるので、流水や石けんによる手洗い、アルコール製剤などでの手指消毒が有効です。また、高齢者や基礎疾患のある方が感染すれば、重症化リスクが高まります。夏休みやお盆で帰省するなど高齢の方と会う場合や、大人数で集まる場合は、感染予防を心がけ体調を整えるようにしましょう。医療機関や高齢者施設を訪問するときには、うつさないためにもマスクの着用が効果的です。


引用
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について(2023年7月21日)

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏