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国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2023年22週(5/29〜6/4)によると、RSウイルス感染症の患者の定点あたり報告数は2.12。4週連続の増加となっています。都道府県別では、山口6.02を筆頭に、三重、大阪、兵庫、奈良、和歌山、広島、福岡、大分、宮崎鹿児島で3を超えています。
感染症の専門医は…
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「RSウイルス感染症は、西日本を中心に流行していますが、大阪では、やや落ち着いてきた兆候も見受けられます。しかし、まだ流行は続いていますので、引き続き注意が必要です。これから注意してみなければいけないのは比較的患者数が少ない東日本です。首都圏で増えてくると、全国的にも流行が続いていくのではないかと予測しています」としています。東海地方では患者が増加、関東も
22週のデータによると、三重をはじめ、愛知、岐阜、静岡といった東海地方で患者数が増えています。また、東京、神奈川、千葉、埼玉でも患者数は増えており、さらなる流行の拡大が懸念されます。RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症は、RS(respiratory syncytial)ウイルスを病原体とする、乳幼児に多く認められる急性呼吸器感染症です。生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の人が感染するとされています。初感染の場合、発熱や鼻汁、咳などの上気道症状が出現し、うち約20〜30%で気管支炎や肺炎などの下気道症状が出現するとされています。重篤な合併症としては無呼吸発作、急性脳症などがあり、生後6か月以内で最も重症化するとされています。生後1か月未満の子どもが感染した場合、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。安井医師は、「RSウイルス感染症は、乳幼児にとっては新型コロナウイルス感染症よりもインパクトがある感染症です。中には呼吸困難を起こして入院する場合もあるので、乳幼児の感染には注意していただきたい」としています。
生後6か月の乳児には、家族がうつす!
RSウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染と接触感染です。飛沫感染は、RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみ、または会話をした際に飛び散る飛沫を吸い込んで感染します。接触感染は、感染している人と直接に触れ合うか、ウイルスがついている手指、物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップなど)を触ったり、または舐めたりすることによって感染します。大人や年長の子どもはRSウイルスに何度も感染しているため、再び感染したとしても風邪のような症状か、あるいは無症状の場合もあります。感染している人が乳児の世話をしようとして接したり、何気なく話しかけたりということでも、RSウイルスはうつります。
乳児にうつさないためには
0歳児、1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろん、流行していなくても、咳などの呼吸器症状がある場合には、飛沫感染対策としてマスクを着用して接することが大切です。また、接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどは、こまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒し、流水・石けんによる手洗いか、アルコール製剤による手指衛生を心がけてください。登園の目安は?
保育園などで集団感染の可能性もあるRSウイルス感染症。もしRSウイルス感染症に感染した場合、再登園のめやすは「呼吸器症状が消失し、全身の状態が良いこと」とされています。これについて安井医師は、「わかりやすく言えば『症状がなくなって元気になったら、保育所に登園してもいい』ということでしょう」としています。再登園する際には、登園届を提出することが推奨されています。記入は保護者が行うもので、一律に作成・提出する必要があるものではありませんが、医療機関から「病状が回復し集団生活に支障がない状態」と判断されたことを保育所に伝えることを目的としています。集団感染を防ぐためにも、ぜひご利用ください。
引用
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2023年22週(5/29〜6/4)
厚生労働省HP:RSウイルス感染症Q&A、保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2023年22週(5/29〜6/4)
厚生労働省HP:RSウイルス感染症Q&A、保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏