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引き続き注意を 引き続き注意を
 新型コロナウイルス感染症の「5類移行」に伴い、一日ごとの患者数の全数報告は、2023年5月8日の発表で終了します。

 今後は、全国およそ5000の定点医療機関からの報告を待つことになります。

 ※初回の5月8日~14日の定点データは、5月19日に発表。

5類移行での変更点は?

 厚生労働省は、5類移行後の主なポイントを4つ挙げています。

① 政府として一律に日常における基本的感染対策を求めることはない。
② 感染症法に基づく、新型コロナ陽性者及び濃厚接触者の外出自粛は求められなくなる。
③ 限られた医療機関でのみ受診可能だったのが、幅広い医療機関において受診可能になる。
④ 医療費等について、健康保険が適用され1割から3割は自己負担が基本となるが、一定期間は公費支援を継続する。

それでも入院が必要な患者も…

 5類移行とはなりますが、コロナの脅威が弱まった訳ではありません。

 一時より減ってはいるものの、入院が必要な患者さんは出ていると言います。

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「患者の発生は、5月の間は増えていく事が予測されます。現在、置き換わりが進む、BA.2系統の「XBB.1.5」は、免疫を逃避すると言われており、これまでに感染したとしても、再度、感染する恐れがあります。重症化しやすいとの指摘は、現在のところありませんが、5類になった後も、引き続き、注意が必要です。重症例は、少なくなりましたが、それでも入院が必要なケースに接することもあります。酸素挿管が必要な一歩手前のケースでしたが、血中酸素濃度が少ないにもかかわらず、患者さん本人は『息苦しさ』を感じていないとのことでした。このようなケースは、『ハッピーハイポキシア』と呼ばれ、病状が進行しているにも関わらず、本人の自覚症状が強くないのが特徴です。特に、気を付けて頂きたいのは、「ワクチン未接種」「肥満」「糖尿病」と言ったワードに心当たりがある方です。合併症の危険もあるので、注意が必要です」としています。

ハッピーハイポキシアとは…

 血中の酸素濃度が低くなっているにも関わらず、本人が息苦しさを感じないケースです。

 「ハッピーハイポキシア(幸せな低酸素症)」は、本人が、軽症・無症状と思っている間に、病状が進行する場合があります。

 自宅療養の際など、高齢者や基礎疾患のある方は、特に注意が必要です。

 パルスオキシメーターを使用し、こまめに血中酸素濃度を計測することが対策となります。

引用 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診療の手引き」
取材 大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏