半年以上前に更新された記事です。
2023年3月13日に厚生労働省の専門家会議に提出された資料によると、献血時に余った血液を基にした調査で、2023年2月の時点の日本全体の抗体保有率は、42.3%となりました。
調査は、2023年2月19日~27日に、全都道府県の日本赤十字社の献血ルーム等で提供された13,121人の余った血液を基に、抗N抗体(過去に感染した人が持つ抗体)を保有する人の割合を測定したものです。
第1回の調査は、昨年11月時点で、抗体保有率は26.5%。
第2回となる今回の調査では、42.3%と大きく伸びました。
都道府県別に見ると、福岡が最も高く、次いで沖縄、佐賀、愛知、鹿児島と続きました。
一方で、最下位の岩手県は、3割に満たない数値でした。
※留意点
・測定結果は、陽性判定された検体数を全検体数で割った値であり、単純集計にて求めたものである点
・献血の対象年齢が16~69歳であり、70歳以上の高齢者は含まれず、小児、高齢者の陽性率の分布はこのデータからは分からない点
・迅速に各都道府県の抗体陽性率の把握を行う目的で実施しており、献血を行った者の中から系統的無作為に抽出を行ったため、速報では、性別や年齢分布など陽性率に影響を与えうる因子を補正しておらず、本来の人口単位の抗体保有率とは異なる可能性がある点
性別 抗体保有率(速報値)
女 42.1% 男 42.4%都道府県別 抗体保有率(速報値)
北海道 39.4% 石川県 40.5% 岡山県 45.0%青森県 36.5% 福井県 40.7% 広島県 37.9%
岩手県 27.4% 山梨県 34.9% 山口県 42.7%
宮城県 37.1% 長野県 34.9% 徳島県 38.3%
秋田県 37.8% 岐阜県 48.3% 香川県 39.5%
山形県 39.1% 静岡県 39.2% 愛媛県 40.7%
福島県 31.7% 愛知県 51.8% 高知県 40.3%
茨城県 45.6% 三重県 39.8% 福岡県 59.4%
栃木県 41.0% 滋賀県 39.2% 佐賀県 52.5%
群馬県 43.4% 京都府 43.6% 長崎県 39.9%
埼玉県 46.2% 大阪府 50.2% 熊本県 45.9%
千葉県 38.6% 兵庫県 44.0% 大分県 41.2%
東京都 42.2% 奈良県 44.4% 宮崎県 43.5%
神奈川県 42.8% 和歌山県 35.9% 鹿児島県 51.5%
新潟県 33.5% 鳥取県 40.4% 沖縄県 58.0%
富山県 42.9% 島根県 40.7%
年齢群 抗体保有率(速報値)
16-19歳 62.2%20-29歳 51.6%
30-39歳 52.2%
40-49歳 46.0%
50-59歳 36.7%
60-69歳 28.3%
感染症の専門医は…
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「提出されたデータは、献血ができる16歳から69歳までの方のデータであることや、陽性判定された検体数を全検体数で割った単純集計の値であることなどから偏りもあり、どこまで実態を反映しているかは分かりません。但し、非常に興味深いデータである思います。今後も継続的な調査を期待したい」としています。
引用 第73回厚生科学審議会感染症部会 資料
第2回献血時の検査用検体の残余血液を用いた新型コロナウイルスの抗体保有率実態調査
(結果速報、概要)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
第2回献血時の検査用検体の残余血液を用いた新型コロナウイルスの抗体保有率実態調査
(結果速報、概要)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏