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咳エチケットで飛沫感染を防止 咳エチケットで飛沫感染を防止
 厚生労働省が1月27日に発表した資料によると、2023年第3週(1/16~22)のインフルエンザ定点あたりの報告数は全国で9.59人。前週(第2週・1/9~1/15)の7.37人から約1.3倍に増加しました。都道府県別では、沖縄が38.77人で前週から警報が継続中、大阪、福岡で20人を超えました。近畿・九州に10人を超える注意報レベルの県が多く、主に西日本で流行拡大の傾向にあります。

全国各地で、インフルエンザによる学級閉鎖が

 また、第3週のインフルエンザによる学級閉鎖の報告数は928。前週の96から10倍近くに急増しました。都道府県別の報告数は、大阪で105校、兵庫で93校。また東京47校、千葉46校など、首都圏でも多く報告されています。大阪府の集計によると、小学校122クラス、中学校36クラスで学級閉鎖となっており、小学校を中心にインフルエンザの流行が広がっています。

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「新型コロナウイルスは大人の感染から社会全体に広がる傾向がありますが、インフルエンザは子どもの流行が社会全体に広がる傾向があります。ですので、学校などで学級閉鎖が多くなっているということは、これからさらに流行が拡大していくということが予測されます。例年のインフルエンザの流行のピークは、まさに今の1月の下旬です。これから2月上旬にかけて、インフルエンザの感染に最大限に注意をする必要があります」と語っています。

インフルエンザの予防

 インフルエンザは、まずかからないことが重要です。予防には、外出後の手洗い、適度な湿度の保持(湿度50〜60%)、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、人混みや繁華街への外出を控える、そしてインフルエンザワクチン接種などが有効です。ただしワクチンの効果が出るのは接種から2週間程度かかるとされています。

インフルエンザにかかったら

 では、インフルエンザにかかってしまったらどうすればいいでしょうか。感染すると38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などが比較的急速に現れ、普通の風邪のように喉の痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。これらの症状が見られたら、

・安静にして、休養をとる。特に睡眠を十分に撮ることが大切。
・水分を十分に補給する。お茶でもスープでも、飲みたいものを摂取する。
・高熱が続く、呼吸が苦しい、意識がおかしいなど、具合が悪ければ早めに医療機関を受診する。

インフルエンザをうつさないことも重要

 また、感染の可能性があるのに、無理をして学校や職場などに行くことは感染拡大を招くので避けましょう。インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみの際に口からでる小さな水滴による飛沫感染です。熱などの症状がなくてもインフルエンザに感染していることがあるので、周囲の人にうつさないためには、咳エチケットが重要です。

 咳エチケットとは、咳やくしゃみが出る時に、次のように飛沫を防ぐことです。

・マスクを着用する。
 鼻から顎までを覆い、隙間がないようにつける。

・ティッシュ、ハンカチなどで口や鼻を覆う。
 口と鼻を覆ったティッシュは、すぐにゴミ箱に捨てましょう。

・上着の内側や袖(そで)で覆う。
 まわりに水滴が飛ばないようにすることが重要です。

インフルエンザにかかった時の異常行動

 インフルエンザで医療機関を受診した時に、抗インフルエンザウイルス薬を処方されることがありますが、ごくまれですが、この薬の服用後に急に走り出す、部屋から飛び出そうとするなどの異常行動が起きたことが報告されています。これまでの調査結果などからは、インフルエンザにかかった際は、抗インフルエンザウイルス薬を服用してもしなくても、同様の異常行動が現れることが報告されています。特に就学以降の小児・未成年の男性で、転落事故などに至る恐れのある重度の異常行動が多いことが知られています。保護者の方は、お子さんがインフルエンザで自宅療養している時などは、十分に注意をお願いします。

引用
厚生労働省:インフルエンザに関する報道発表資料 令和5年第3週、
令和4年度インフルエンザQ&A、
大阪府感染症情報センター:大阪府感染症発生動向調査週報(速報)2023年第3週

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏