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 2月に注意してほしい感染症について、感染症の専門医で大阪府済生会中津病院の安井良則医師に予測を伺いました。

 流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。

【No.1】新型コロナウイルス感染症
 落ち着きをみせている地域もありますが、流行は続いています。今後、オミクロン株の亜系統への置き換わりが流行状況に影響を及ぼすことが考えられます。

 一般に冬は、ウイルスの活動が活発になる時期であることからも、注意が必要です。

 また、学校などでの集団感染が発生し、子どもから家庭内にウイルスが持ち込まれるケースも、引き続き増えると危惧しています。

 学校でできる感染対策として、マスク着用や手洗いの励行に加え、教室内ではこまめな換気を行ってください。何より重要なのが、多くの方がワクチンを接種することです。

 国内でも、オミクロン株対応ワクチンの接種が始まっています。

 しかし、ワクチンを接種していても、感染しないわけではなく、周囲にうつさないわけでもありません。ワクチンを接種した後も決して安心しないでください。

 ワクチン接種に加え、感染対策を徹底することで、ようやくウイルスに立ち向かえるのです。

【No.2】インフルエンザ
 各地で、インフルエンザに伴う学級・学校閉鎖が散見されます。

 インフルエンザは集団生活の場で広がる可能性があり、冬にかけて感染動向に注意が必要です。

 インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。

 ここ2シーズンほど、インフルエンザの流行がみられず、乳幼児が初めて感染すると重症化しやすいことから、予防接種を受けることで発病率、重症化の低減につながると言われています。

 予防接種を受けてから、抗体ができるまで約2週間かかり、効果は約5か月間持続しますので、流行前に早めに接種することを、おすすめします。

【No.3】感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症)
 感染性胃腸炎の一つノロウイルス感染症は、保育所や幼稚園・小学校などの集団生活でも多くみられる感染症です。

 ノロウイルスに感染すると、多い時には10回以上のおう吐や下痢の症状が続きます。そのおう吐物や下痢便には、ウイルスが大量に含まれ、わずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。ノロウイルス感染症は有効とされるワクチンや薬がまだ開発されていないため、対症療法を行います。下痢止めを飲むと、ウイルスが体内に残ってしまうため、飲まないようにしましょう。嘔吐や下痢が続いている時は、脱水症状に注意して下さい。水分を補給する際には、電解質輸液が効果的です。

 ウイルスが付着していると考えられる物品の消毒については、次亜塩素酸ナトリウム系(塩素系消毒剤)を用いて行いましょう。使用する濃度は500ppm以上が推奨されます。嘔吐や下痢などの症状が改善しても24時間は、自宅で様子をみるようにしましょう。症状がなくなったからといって、登園もしくは登校させると、集団感染につながるおそれがあります。

【No.4】A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、例年、冬季および春から初夏にかけての2つの報告数のピークが認められています。保育所や幼稚園の年長を含め、学童を中心に広がるので、学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意しましょう。

 感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、咳エチケットなどが有効です。

感染症の専門医は…

 大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は、落ち着きをみせている地域もあります。一方で、インフルエンザの報告が増えていることが気がかりです。2シーズンぶりの流行となるため、感受性者が多くいると思われます。インフルエンザは、学校・幼稚園などから、家庭に持ち込まれるケースが多く、注意が必要です。」と述べています。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長・国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏