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大規模な食中毒の原因にも! 大規模な食中毒の原因にも!
 感染性胃腸炎に感染する人が、全国で増加しています。国立感染症研究所の2023年第2週(1/9-16)速報データでは、定点当たりの報告数は5.76 。前週と比較すると1.65倍の増加となっています。

冬の感染性胃腸炎の多くは、ノロウイルスが原因

 感染性胃腸炎は、さまざまな細菌やウイルス、寄生虫が病原体である感染症の総称で、発熱、下痢、悪心、おう吐、腹痛などが起こります。特に冬に流行する感染性胃腸炎の原因としては、ノロウイルスがあります。ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口から感染し、ヒトの腸管で増殖。おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復しますが、子どもや高齢者などでは重症化の可能性があり、吐物を誤って気道に詰まらせて、死に至ることもあります。

「ノロウイルス食中毒注意報」発出の地域も

 2022年末から2023年にかけて、各地で「ノロウイルス食中毒注意報」が発出されています。2023年1月18日には、長野県で注意報が出されました。

 長野県健康福祉部によると、「ノロウイルスによる感染症は『感染性胃腸炎』の一部として報告されますが、その感染性胃腸炎の患者数が急増傾向を示すと、1〜2週間後にノロウイルス食中毒が発生する可能性が高いことがわかっています。当県では18日に患者数の増加を示すデータが得られたため、その日に注意報を出し、県民の方に注意を呼びかけています。実際に飲食店などでのノロウイルスによる食中毒の事例は報告されていませんが、長野県のノロウイルスの流行は例年であれば4月ぐらいまで続きます。今年もこのまま報告数が増えれば、例年と同様の流行になるのではないかと考えています」とのことです。

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「国立感染症研究所のデータでは病原体が特定できないので、正確なことはわかりませんが、例年と同じであればノロウイルスによる胃腸炎が流行していると考えていいのではないかと思います。冬の感染性胃腸炎の流行は、前々シーズンはほとんどありませんでしたが、前シーズンは少しありました。今シーズンは大流行とは言わないまでも、例年通りか、例年をやや下回る程度の流行はあると予測しており、予防を心がけていただきたいです」と語っています。

ノロウイルスはどうやって感染するの?

 ノロウイルスの感染経路には次のようなものがあります。

・患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐物から、人の手などを介して感染
・家庭や共同生活施設など、人同士の接触する機会が多いところで、飛沫感染
・食品取扱者(調理従事者や家庭で調理する人)が感染しており、その人を介して汚染された食品を食べて感染
・汚染されている二枚貝を生、あるいは十分に加熱しないで食べて感染
・ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取して感染

予防のポイントは?

 そして、予防のポイントは、

・手を十分に洗う
 調理前、食事前、トイレに行ったあとなど、こまめに手を洗いましょう。

・食品は十分に加熱をする
 ウイルスは一般的には熱に弱く、中心部が85〜90℃で90秒以上の加熱が望まれます。

・調理器具などを消毒する
 洗剤などでよく洗った後、85℃以上の熱湯で1分以上の加熱や、次亜塩素酸ナトリウムなどでの消毒が有効です。

・調理従事者や家庭で調理する人の健康管理
 ノロウイルスは症状がなくなっても、1週間から1か月程度ウイルスが出続けます。症状が改善しても、しばらくの間は直接食品を取り扱う作業をしないようにしましょう。

ノロウイルスは、少ないウイルス量でも感染する

 ノロウイルスは、少ないウイルス量でも感染するため、飲食店などで感染が起こると、大規模な食中毒になりやすいとされています。ノロウイルスによる冬の食中毒を防ぐためにも、日々予防に気をつけてください。

引用
国立感染症研究所 感染症発生動向調査週報 2023年第2週(1月9〜15日)速報データ
厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&A、冬は特にご注意!ノロウイルスによる食中毒
長野県健康福祉部プレスリリース:「ノロウイルス食中毒注意報」を全県に発出しました(2023年1月18日)

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
長野県健康福祉部 食品・生活衛生課