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保育所に提出する医師記入の意見書 保育所に提出する医師記入の意見書
 厚生労働省が1月13日に発表した資料によると、2023年第1週(1/2~8)のインフルエンザ定点あたりの報告数は全国で4.73。前週(2022年第52週・12/26~1/1)の2.05から倍以上に増加しました。都道府県別では、沖縄、宮崎、佐賀が10を超え、注意報レベルに。次いで福岡、大阪、愛媛、長崎が多くなっています。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「大阪でもインフルエンザの患者が急増しています。定点あたりの報告数は昨年第52週の3.73から、今年第1週は8.26となっていて、病院の正月休みがあったにもかかわらず2倍以上に増えています。特に大阪市西部は20.80で、注意報レベルの10を超え、警報レベルの30に近づいています。この3年間インフルエンザが流行していないことから、これからまだまだ患者さんが増えていくのではないかと予測しています。新型コロナも引き続き増加傾向にありますし、同時流行にさらなる警戒が必要だと思います」と語っています。

インフルエンザはどのような感染症?

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、感染痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状が比較的急速に現れるのが特徴です。あわせて普通のかぜと同じように、ノドの痛み、鼻汁、せきの症状も見られます。子どもではまれに急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している方では、二次性の肺炎をともなうなど、重症になることがあります。

入院患者は若年層から高齢者まで幅広く

 新型コロナウイルス感染症では重症者の多くは高齢者ですが、インフルエンザでは子どもから高齢者まで幅広いのが特徴です。2023年第1週のインフルエンザによる入院患者の届出数を見ると、年齢別では1〜4歳が30で一番多く、次いで、80歳以上(27)、5〜9歳(19)、70〜79歳(16)となっています。保育所や学校などでの集団感染の報告もあり、いつ感染してもおかしくない状況にあります。

もし、インフルエンザにかかったら?

 では、学齢の子どもがインフルエンザにかかったらどうすればいいでしょうか。

 「学校において予防すべき感染症の解説(日本学校保健会)」によると、「流行期に発熱と呼吸器症状が生じた場合は欠席し、安静と栄養をとるとともに、症状に応じて医療機関を受診する。そして、感染を拡大しないように外出を控え、必要に応じてマスクをする」とあります。

いつから学校へ行けるの?登校基準は?

 そして気になるのは、いつからまた学校に行けるのかということ。感染後の再登校の基準ですが、発熱の翌日を1日目として、5日を経過し、かつ解熱したあと2日を経過するまで出席停止となります。抗ウイルス薬によって早期に解熱した場合も感染力は残るため、早めに症状がなくなったとしても、発症後5日経過するまでは出席しないようにしてください。

いつから保育所に行けるの?登園基準は?

 一方、保育所に通っている乳幼児の再登園の基準は、発熱の翌日を1日目として、5日を経過し、かつ解熱したあと3日を経過するまでは、出席停止となります。症状が回復した後は、意見書を医師に記入してもらい、保育所に提出するといいでしょう。ただし、一律に作成・提出が必要となるものではありません。

改めて予防対策を

 すでにインフルエンザのワクチンを受けている方も多いと思いますが、重症化を防ぐためにもワクチン接種は有効です。そして、外出後の手洗い、適度な湿度の保持、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取、人混みや繁華街への外出を控えることなどが、予防につながります。これからがインフルエンザの流行シーズンです。予防をしっかりとして、快適な生活を送りましょう。


引用
厚生労働省:インフルエンザに関する報道発表資料 令和5年第1週、
令和4年度インフルエンザQ&A、保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)
大阪府感染症情報センター:大阪府感染症発生動向調査週報(速報)2022年第52週〜2023年第1週
公益財団法人日本学校保健会:学校において予防すべき感染症の解説(2018年3月発行)

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏