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1月に注意してほしい感染症について、感染症の専門医で大阪府済生会中津病院の安井良則医師に予測を伺いました。
流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。
【No.1】新型コロナウイルス感染症
落ち着きをみせている地域もありますが、流行は続いています。今後、オミクロン株の亜系統であるBQ.1への置き換わりが流行状況に影響を及ぼすことが考えられます。
一般に冬は、ウイルスの活動が活発になる時期であることからも、注意が必要です。
また、学校などでの集団感染が発生し、子どもから家庭内にウイルスが持ち込まれるケースも、引き続き増えると危惧しています。
学校でできる感染対策として、マスク着用や手洗いの励行に加え、教室内ではこまめな換気を行ってください。何より重要なのが、多くの方がワクチンを接種することです。
国内でも、オミクロン株対応ワクチンの接種が始まっています。
しかし、ワクチンを接種していても、感染しないわけではなく、周囲にうつさないわけでもありません。ワクチンを接種した後も決して安心しないでください。
ワクチン接種に加え、感染対策を徹底することで、ようやくウイルスに立ち向かえるのです。
【No.2】インフルエンザ
各地で、インフルエンザに伴う学級・学校閉鎖が散見されます。
インフルエンザは集団生活の場で広がる可能性があり、冬にかけて感染動向に注意が必要です。
インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。
ここ2シーズンほど、インフルエンザの流行がみられず、乳幼児が初めて感染すると重症化しやすいことから、予防接種を受けることで発病率、重症化の低減につながると言われています。
予防接種を受けてから、抗体ができるまで約2週間かかり、効果は約5か月間持続しますので、流行前に早めに接種することを、おすすめします。
【No.3】感染性胃腸炎(ノロウイルス感染症)
感染性胃腸炎の一つである、ノロウイルス感染症は保育所や幼稚園、小学校などの集団生活で多くみられる感染症です。
ノロウイルスに感染すると、多い時には10回以上のおう吐や下痢の症状が続きます。そのおう吐物や下痢便には、ウイルスが大量に含まれ、わずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。ノロウイルス感染症は有効とされるワクチンや薬がまだ開発されていないため、対症療法を行います。下痢止めを飲むと、ウイルスが体内に残ってしまうため、飲まないようにしましょう。嘔吐や下痢が続いている時は、脱水症状に注意して下さい。水分を補給する際には、電解質輸液が効果的です。
ウイルスが付着していると考えられる物品の消毒については、次亜塩素酸ナトリウム系(塩素系消毒剤)を用いて行いましょう。使用する濃度は500ppm以上が推奨されます。嘔吐や下痢などの症状が改善しても24時間は、自宅で様子をみるようにしましょう。症状がなくなったからといって、登園もしくは登校させると、集団感染につながるおそれがあります。
【No.4】RSウイルス感染症
RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2~8日、一般的には4~6日で発症します。
特徴的な症状である熱や咳は、新型コロナウイルス感染症と似ており、見分けがつきにくいです。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。
RSウイルス感染症は乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。
お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。
感染経路は、飛沫感染や接触感染です。ワクチンはまだ実用化されていないため、手洗い、うがい、マスクの着用を徹底しましょう。
家族以外にも保育士など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。
感染症の専門医は…
大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「RSウイルス感染症の定点報告は落ち着きをみせていますが、完全に収束はしていない状況です。乳幼児にとっての疾患のインパクトは、新型コロナウイルス感染症より大きいため、流行状況を注視していく必要があります」と述べています。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長・国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏