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アメリカでは今年10月から11月にかけて、ニューヨークをはじめ各地でRSウイルスの感染者が急増しました。新型コロナ、インフルエンザも流行していて、3種類のウイルスが同時流行する「トリプルデミック」が警戒されています。RSウイルス感染症とはどのような病気なのでしょうか。そして、日本でのトリプルデミックの可能性は?
RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症とは、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくとも1度はRSウイルスに感染するとされています。乳児期早期(生後数週間〜数か月)の子どもは、要注意!
RSウイルス感染症の症状としては、軽い風邪のような症状から、重い肺炎まで様々です。しかし、初めて感染発症した場合は重くなりやすいといわれており、特に乳児期早期(生後数週間〜数か月)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。突然死につながる無呼吸発作を起こすこともあり、乳児期早期の赤ちゃんにとっては命に関わる、要注意の感染症です。感染症の専門医は…
では、日本での「トリプルデミック」の可能性はあるのでしょうか。感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「その可能性はあまり大きくはないと思います。というのも、RSウイルス感染症は、日本では今年の夏に流行があったので、この冬に再流行する可能性は低いと予測しています。しかし、全く流行がないというわけではなく、現在も患者が発生している地域があります。RSウイルス感染症は、小さな赤ちゃんにとっては命に関わる感染症ですので、新型コロナやインフルエンザとともに、RSウイルスの警戒も引き続き行っていただきたいと思います」と語っています。RSウイルス感染症は、東日本で流行傾向に
安井医師は「RSウイルス感染症は一昨年、西日本で大きく流行したため、現在は東日本の方が流行しやすい傾向にある」と予測しています。国立感染症研究所の第49週(12/5〜12/11)速報データによると、RSウイルス感染症の定点当たり報告数が多い県は、福井、福島、山形、宮城、新潟、富山など東日本が多くなっています。全国で見ても、報告数は前週(第48週)よりも増加しており、引き続き警戒が必要です。子どものヒューヒュー、ゼイゼイに要注意!
RSウイルス感染症は、乳児期早期(生後数週間〜数か月)の赤ちゃんは特に注意が必要で、感染するとひどい咳や喘鳴(ぜんめい・・・呼吸をする時ヒューヒュー、ゼイゼイという音がする)などの症状が出て、その後呼吸困難になるおそれがあります。また、元気がない、ミルクの飲み方が少ないなど、赤ちゃんのちょっとした変化が感染のサインである場合があります。午前中は元気だったのに、夕方に急に症状が出るなど、比較的急激に悪化する場合もあるので、少しでも気になる時は、かかりつけ医を受診してください。RSウイルス感染症の予防法は?
RSウイルス感染症を予防するワクチンはありません。感染経路は飛沫感染と接触感染です。飛沫感染対策としては、咳などの呼吸器症状がある場合はマスクを着用してうつさないように注意してください。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒する。また、流水・石けんによる手洗いか、アルコール製剤による手指衛生が有効です。
引用
CDC(Centers for Disease Control and Prevention):RSV-NET interactive dashboard
厚生労働省:RSウイルス感染症Q&A
国立感染症研究所:第49週(12/5〜12/11)速報データ
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
CDC(Centers for Disease Control and Prevention):RSV-NET interactive dashboard
厚生労働省:RSウイルス感染症Q&A
国立感染症研究所:第49週(12/5〜12/11)速報データ
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏