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厚生労働省発表の新型コロナウイルス感染症情報(12月8 日版)によると、新規陽性者数は東京では1万4104人。前週の同じ曜日より1,772人増加しました。大阪では6,950人で、前週の同じ曜日より1,144人増加。一方、北海道では6,641人で、前週の同じ曜日より971人減少しました。
感染症の専門医は・・・
感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「第7波のあと、早めに気温が下がり、また累積罹患率が低い北海道や東北地方などでは、新規感染者が多くなる傾向がありましたが、落ち着きを見せつつあります。一方、東京や大阪など大都市圏では増加傾向が続いています。これから年末年始に向けて、帰省などで大都市圏から地方へ人が移動する機会が増えますが、大都市圏の新規感染者がさらに増加した場合、流行が全国的に拡大するおそれがあり、注意が必要です」と語っています。流行株はBA.5はBQ.1に置き換わる?
現在、国内での流行株はオミクロン株のBA.5系統が主流となっていますが、第109回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(12月7日)に提出された資料によると、第49週(12月5〜11日)には変異株の検出割合が、BA.5の54%に対し、BQ.1が36%に増えると推定しています。BQ.1の特徴は?
BQ.1は、BA.5.3系統の亜系統で、今年9月にナイジェリアから報告されました。11月7日時点で、69か国で感染が報告されており、イギリス、フランス、デンマークなどヨーロッパの各国、そしてアメリカで多く感染者が出ています。BQ.1は中和抗体からの逃避能が高い可能性が示唆されています。ワクチンの効果は、従来型、オミクロン対応2価ともに感染予防効果が低下する可能性が示唆されていますが、重症化予防効果には影響がないと予測されています。専門医も、BQ.1の流行に警戒
安井医師は「BQ.1は免疫逃避能力があるとされ、ワクチン接種や感染で得た免疫が働きにくいとされています。これまでの情報では、感染性や重症化度が高まっているとのデータはありませんが、BQ.1が流行株の主流になっていくと、さらなる流行拡大が起こる可能性もあるのではないでしょうか」と、警戒しています。インフルエンザとの同時流行は?
新型コロナと同時流行が心配されているインフルエンザですが、今のところ大きな流行の傾向は見られません。全国の定点あたりの報告数は、第47週(11月21〜27日)の0.11から、第48週(11月28〜12月4日)の0.13に微増しました。報告数が比較的多かった大阪府では第43週(10月24〜30日)から第46週(11月14〜20日)にかけて4週連続で増加したものの、その後第48週(11月28〜12月4日)まで2週連続で減少しています。引き続き、同時流行の警戒を
安井医師は「インフルエンザの感染者は、例年であればこの時期から増えてくるのですが、今のところは目立って増加はしていません。しかし、去年、一昨年はほとんど流行がなかったことを考えると、感染者が各地で発生している今年は油断ができません。これから本格的な流行シーズンに入りますので、引き続き手洗い、部屋の換気、そしてワクチン接種などでインフルエンザ、そして新型コロナの予防をお願いします」と呼びかけています。
引用
厚生労働省:データからわかる新型コロナウイルス感染症情報(令和4年12月8日)、
第109回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年12月7日)、
インフルエンザの発生状況について第48週(令和4年12月9日)
国立感染症研究所:感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第22報)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
厚生労働省:データからわかる新型コロナウイルス感染症情報(令和4年12月8日)、
第109回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年12月7日)、
インフルエンザの発生状況について第48週(令和4年12月9日)
国立感染症研究所:感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第22報)
取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏