再登園の際の医師記入による意見書(参考様式) 再登園の際の医師記入による意見書(参考様式)
 アデノウイルスが原因の感染症、咽頭結膜熱。例年7〜8月に感染のピークがあり、子どもの感染者が多く、プールでの接触やタオルの共用などにより感染することがあるので、「プール熱」としても知られている感染症ですが、実は冬にも流行する感染症です。国立感染症研究所の第43週(10/24-30)速報データによると、全国の定点あたりの報告数は、注意報レベルにはまだ遠いものの、2週連続で増加。例年報告数がピークとなる12月に向けて、警戒が必要な感染症です。

咽頭結膜熱はどのような感染症?

 咽頭結膜熱には、38~39度の発熱、ノドの痛み、結膜炎といった症状があります。5〜7日の潜伏期間の後に発症。まず発熱があり、頭痛、食欲不振、全体倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血、眼痛などがあり、3〜5日程度持続します。特に治療法はなく、対症療法が中心となります。子どもに多い感染症で、罹患年齢は5歳以上が約6割を占めているというデータもあります。生後14日以内の新生児に感染した場合は、全身性感染を起こしやすく、重症化する場合があることが報告されています。

咽頭結膜熱の感染経路、予防法は?

 咽頭結膜熱の感染経路は、飛沫感染と接触感染で、結膜あるいは上気道から感染します。予防のためのワクチンはなく、予防法としては、感染者との密接な接触を避けること、流行時にはうがいや手指の消毒をすることなどがあります。手洗いは流水と石けんが有効で、90%エタノールも効果がありますが、消毒用エタノールは効果が弱いとされています。器具やおもちゃなどは、煮沸や次亜塩素酸ソーダで消毒することができます。お風呂などでのタオルの使い回しからも感染することがあるので、家族で共用するのは避けましょう。また、治癒後も長時間、便の中にウイルスが排出されるため、保護者は排便後やおむつを取り替えた後の手洗いはていねいに行う必要があります。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「アデノウイルスには、多くの型があり、そのうちの数種類が咽頭結膜熱の原因となります。何度も感染や発症を繰り返しますが、初めての感染が症状は重くなる傾向があります。予防法は手洗いや密な接触を避けるなど、特に小さなお子さんがいるご家庭や保育所などでは、予防に留意してください」と語っています。

保育園児の登園の目安は?

 厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」によると、咽頭結膜熱にかかった場合、子どもの登園の目安は「発熱、充血等の主な症状が消失した後2日を経過していること」としています。登園を再開する際には、一律に作成・提出する必要があるものではありませんが、医師が記入する意見書を保育所施設長宛に提出するといいでしょう。

アデノウイルスは子どもの感染性胃腸炎の原因にも

 また、アデノウイルスは、ノロウイルス、ロタウイルスとともに、小児における感染性胃腸炎の主要な病原体です。特徴としては6歳以下の子供の割合が多いこと、食品を介する事例が少ないこと、他のウイルス性胃腸炎と比較して下痢の期間が長いことが挙げられています。主な症状は発熱とともに、嘔吐・下痢といった消化器症状が主要な症状です。特にアデノウイルスによる感染性胃腸炎は長期間にわたって下痢が続き、糞便などにウイルスが排出される期間が長いとされています。感染性胃腸炎も国立感染症研究所の第43週(10/24-30)速報データによると、全国の定点あたりの報告数は3週連続で増加しています。これから本格的になる冬の感染症のシーズンに向けて、引き続き予防を心がけてください。

引用
国立感染症研究所:「IDWR速報データ2022年第43週」「咽頭結膜熱とは」「アデノウイルスによる感染性胃腸炎」
厚生労働省:「保育所における感染症対策ガイドライン」

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏