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新型コロナ・インフルエンザ同時感染の可能性も 新型コロナ・インフルエンザ同時感染の可能性も
 この冬、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念されています。厚生労働省の第103回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(2022年10月20日)の資料によると、新型コロナの新規感染者数は全国で増加に転じており、第8波の発生の恐れが高まっているとされています。

南半球のオーストラリアなどの状況を参考に、今冬の感染拡大を想定

 南半球のオーストラリアは、日本と季節は反対となり、一番寒い夏の時期に、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザが同時流行しました。それを踏まえ日本でもこの冬に同時流行が懸念され、オーストラリアなどの状況や専門家の見込みによると、新型コロナの患者が1日45万人、インフルエンザの患者が1日30万人規模で同時流行し、ピーク時には1日75万人の患者が生じる可能性を想定。国内全体で対応の準備を進めるとしています。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師も、この冬の新型コロナ・インフルエンザの同時流行が気がかりだとしています。

 「過去2年間の統計から、年末年始周辺で新型コロナの大きな流行があり、寒い時期に流行する感染症という認識があります。現在、流行は下火ですが、今からおよそ2か月後にかなりの流行になるのではないかという予測をしています。また、季節性のインフルエンザですが、過去2年間大きな流行がなかったので、ウイルスにさらされていない人が多く、増加し始めるとやはり2か月程度でピークがやってくるのではないかと思います。発熱外来に新型コロナとインフルエンザの患者さんが殺到してもおかしくないと思います」

その発熱は、新型コロナ?インフルエンザ?

 次に流行する新型コロナの特徴的な症状はまだわかりませんが、インフルエンザと同じように発熱などが考えられます。一般的に発熱外来など受診した際は、新型コロナとインフルの検査を受け、結果によって次のような対応がとられるそうです。

・新型コロナが陽性だった場合
従来どおりの対症療法が行われ、自宅で療養。症状が悪化した場合は入院治療。

・インフルエンザが陽性だった場合
抗インフル薬を交付して、自宅で療養。症状が悪化した場合は入院治療。

・新型コロナ、インフルエンザがともに陰性だった場合
特に小児の場合はほかの感染症の可能性もあるので、症状や原因に応じた対応をする。

 しかし安井医師は、「新型コロナとインフルエンザの同時感染ということも起こりうるわけで、ともに陽性だった場合はどのように治療していくかということが、課題として残っていると思います」と語っています。

同時流行を見据えた呼びかけ

 アドバイザリーボードでは、同時流行を見据えて、次のような呼びかけを行っています。

◯高齢者、基礎疾患を有する方、妊婦、子ども等
・季節性インフルエンザワクチンについては、定期接種の対象者で接種を希望する人は、早めに接種する。
・新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザの重症化リスクがあるので、発熱などの体調不良時は、速やかに発熱外来やかかりつけ医を受診する。
・自身で新型コロナの検査キットで陽性を確認した場合は、受診時にその結果を医師に伝える。

◯それ以外の方
・発熱などの体調不良時には、まず自身で新型コロナの検査キットにより自己検査をする。必要に応じて都道府県等が公表している窓口に相談する。
・自己検査で新型コロナ陽性が判明した場合には、健康フォローアップセンターに連絡・登録の上、自宅等で療養を。体調が変化した時などは、同センターに相談する。
・体調不良などにより受診を希望する場合は、電話診療・オンライ診療の活用や、かかりつけ医の受診も検討する。

ワクチンによる予防も

 現在、オミクロン株にも対応した新型コロナワクチンの接種が行われていて、第8波の流行に対しての予防効果が期待されています。しかし、ワクチンを接種してから免疫がつくまで1〜2週間程度かかり、また前回の接種から期間があいてしまうと、効果が薄れると言われています。同様にインフルエンザワクチンについても、免疫がつくまでは2週間程度かかると言われています。この冬の同時流行を見据え、早めの接種を検討してはいかがでしょうか。

引用
厚生労働省 第103回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年10月20日)

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏