大人が感染する場合も 大人が感染する場合も
 ヒトメタニューモウイルスは、2001年に見つかった、比較的最近になって存在が知られるようになったウイルスです。

 ヒトメタニューモウイルスは、感染力が強く、上気道炎だけでなく、肺炎などの下気道炎を引き起こす場合もあります。

 RSウイルス感染症と症状は似ていますが、一度の感染ではじゅうぶんな免疫を獲得できないため、子どもから大人まで、何度も再感染を繰り返します。

 小さなお子さんが感染してしまった経験談が、「感染症・予防接種ナビ」に寄せられています。

保育園で感染か?兄妹で発症

 保育園で幼児クラスが流行していました。

 4歳の長男の感染後、7ヶ月の妹にもうつりました。

 7月16日 朝から急にお腹痛いといい、横になっていることが多く小まめに様子を見ていたら昼からかなり熱くなり38℃台。

 本人から、お腹が痛かった時から喉も痛かったそうです。

 ここのタイミングでコロナだったらと思い、部屋を隔離。夫に看病してもらう。

 夜には39℃、ぐったり。食欲全くなし。飲み物とゼリーで頑張る。

 元々喘息持ちで薬は色々持っていたので、解熱剤を使う。

 7月17日 透明の鼻水と咳が始まる。どんどん鼻水、咳悪化。熱も39℃から38℃。

 夜は全く寝れないほどの咳に。喘息発作時の吸入と手持ちの風邪薬、解熱剤を使う。

 食欲全くなし。飲み物少しぐらい。土日に発症し、月曜日も祝日のため受診もできず。

 7月18日 咳がひどく呼吸が辛そう。今までにない喘息発作。ステロイドの内服も持っていたので飲ませるが全く効かない。

 ただ、熱が少し下がり38℃ほどに。飲み物、ゼリー、少しフルーツが食べられる。

 7月19日 朝は微熱、咳は相変わらず酷いがピークは越えた印象。鼻水が黄緑になってくる。かかりつけ医に行き、ヒトメタ陽性。肺の音は綺麗。

 このままの治療薬の使い方で良いと言われ帰宅。

 夜に高熱になるのを覚悟しておくが、以降熱が上がることは無く36℃台に。

 解熱と共にご飯も少し食べられる。

 7月20日 咳と鼻水は残るが普通の風邪ぐらい。吸入や発作時の内服は使わなくなる。

 ただ、鼻水はすごい黄緑色でドロドロ。

 咳はここから5日ほど、鼻水は1週間ほどで完治しました。

 RSより酷い発作で大変でした。

【7ヶ月の妹】
 7月24日 夜から体が熱く、あぁ…とうとうきたか…と思い測ると39℃。授乳は飲める。夜中41℃、ぐったり。解熱剤を使う。

 7月25日 朝機嫌はまあまあ、授乳できる。

 離乳食を食べやすいもので作ってあげると間食。鼻水少し、咳も時々。

 熱は38℃前後。

 病院に連れて行くとヒトメタ陽性。今後を覚悟する。

 夜も案外38℃ほどで、鼻咳もひどくならず夜眠れている。

 7月26日 37℃台に解熱。鼻水少しだけ。機嫌よく、このまま終わるのか…?と半信半疑。

 7月27日 解熱。鼻水も少しだけ。このまま快方しました。

 下の子が軽く、部屋を隔離していたから?かわかりませんが安心しました。

 とにかく長男が重症で心配しました。今までの感染症で1番辛そうでした。

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「ヒトメタニューモウイルス感染症の患者報告が大阪府でもあがっています。これまで、春先に患者報告が増えてくる傾向がみられましたが、今現在、報告が増えていることもあり、注意が必要です。夕熱期間が長く、中には重症化するケースもあり、決して軽くない病気です。一方で、この病気は、感染症法上の届出の対象ではなく、流行を把握することは困難です。一部の自治体などがでデータを集めている場合もありますが、正確な流行状況を把握するためにも、全国的なデータが集められるよう、国にお願いしたい」としています。

まとめ

 ヒトメタニューモウイルス感染症には、迅速検査キットがあり、保険適用される場合もあります。

 お子さんに何らかの症状があるものの、原因が分からず不安を感じている方は、かかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。

症状と潜伏期間

 ヒトメタニューモウイルス感染症の症状は、すべての年齢層で鼻炎、咽頭炎、副鼻腔炎などの上気道炎から、気管支炎、細気管支炎、肺炎などの下気道炎まで引き起こしますが、大部分は症状が出ないか上気道炎、いわゆる「かぜ」の症状です。

 乳幼児、高齢者などでは、呼吸困難になることもあり、酸素投与が必要な肺炎となることも珍しくありません。

 重症化する場合は、高熱が持続し、呼吸が苦しそうになる呼吸器症状が出ます。

 潜伏期間は4〜6日といわれています。

流行時期と年齢の特徴

 流行時期は例年3〜6月とされていて、母体からの移行抗体が消失していく生後6か月頃の乳児より感染が始まり、2歳までに約50%、10歳までにはほぼ全員が感染すると考えられています。小児のみでなく成人(特に高齢者)においても重要なウイルスです。1度の感染では十分な免疫を獲得できず、何度も再感染を繰り返していきます。

感染経路

 ヒトメタニューモウイルスは、RSウイルスと同様に感染力が強く、感染経路は飛沫感染と接触感染であるといわれています。ウイルスの量は発熱後1〜4日で多く、感染者からのウイルスの排泄は1〜2週間持続するといわれています。一方、軽症例では軽い咳や鼻汁程度の症状のため、保育所に通常どおり通っている場合が多く、 幼稚園、保育園など乳幼児の集団生活施設等で効果的な感染対策を行うことは困難であると言わざるを得ません。

予防法と治療

 ヒトメタニューモウイルス感染症の予防には、飛沫感染対策としての咳エチケット、接触感染対策の基本である手指衛生が重要です。ヒトメタニューモウイルスの抗ウイルス薬はなく、ワクチンも存在しないため、治療はすべて急性期の症状の重症度に応じた対症療法が基本となります。特に、脱水、呼吸困難、細菌の2次感染に注意が必要です。

監修・取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏