大人が感染する場合も 大人が感染する場合も
 国立感染症研究所の第34週(8/22-8/28)の患者報告(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)によると、手足口病・ヘルパンギーナの患者数が増加しています。

 ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とした急性のウイルス性咽頭炎です。

 乳幼児を中心に夏季に流行する、いわゆる夏かぜの代表的疾患です。

 その大多数はエンテロウイルス属に属するウイルスに起因し、主にコクサッキーウイルスA群である場合が多いですが、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスで発症する場合もあります。

 現在、東日本を中心に患者報告があがっており、山形県では、第34週(8/22-8/28)の小児科定点医療機関29か所からのヘルパンギーナ患者の報告数が、6.21となっています。

 これに伴い、2022年8月31日に、山形県では「ヘルパンギーナ警報」が発令されています。

 主に、乳幼児の感染が多いとされていますが、看病にあたった方が感染してしまうケースもあるようです。

千葉県・30歳の経験談

 子どもが数日前にヘルパンギーナに感染。その後、私にも感染したようです。

 初日
 夜、急に激しい倦怠感、少し喉に違和感。
 泊まり勤務中のため体温は計れず、持っていた市販の頭痛薬で乗り切る。

 2日目
 泊勤務終了後帰宅、全身が重たく倦怠感、喉の痛みが増す。
 帰宅後、体温40.2℃となりその日は家にあったカロナールを服用して休む。

 3日目
 熱は下がるが、喉が痛すぎて水分取るのがやっと、唾を飲み込めず頻繁に洗面台に吐きに行く。
 病院を受診してヘルパンギーナと診断される。

 4日目
 相変わらず喉が痛い。卵豆腐、よく茹でた素麺をそのまま、茶碗蒸し、プリン、バニラのアイスクリーム等は食べられることが分かり、食べられるものを食べて過ごす。
 喉の中を鏡で見てみると大量の水疱ができて真っ赤になっている。

 5日目
 相変わらず喉が痛い。
 前日とほぼ症状変化なし。

 6日目
 喉が痛いが少し和らぐ。
 唾を飲み込む、水を飲むくらいなら痛みを感じなくなる。
 喉の水疱、炎症も少し和らぐ。

 7日目
 痛みが更に改善。
 おにぎりやサンドイッチなどを食べることができた。
 喉の炎症もかなり落ちついてきた。

 8日目
 痛み無くなる。
 喉の炎症はまだ少し残るものの、食事の際にたまに違和感を感じるくらいで通常の食事をすることが出来た。

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は「ヘルパンギーナはエンテロ属のウイルスですが、手足口病を引き起こすウイルスとして知られるコクサッキーA6も、元々はヘルパンギーナのウイルスとしても知られています。症状の出かたなどで、手足口病なのか、ヘルパンギーナなのか、診断が異なることもあります。また、大人であっても、じゅうぶんな免疫がない場合は、発症し、高熱や発疹が出てしまうこともあり注意が必要です。」としています。

症状

 2〜4日の潜伏期を経過し、突然の発熱に続いて咽頭痛が出現し、咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径1〜2mm 、場合により大きいものでは5mmほどの紅暈(こううん、皮膚が部分的に充血して赤く見えること)で囲まれた小水疱が出現します。小水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴います。発熱については2〜4日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失します。発熱時に熱性けいれんを伴うことや、口腔内の疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症などを呈することがありますが、ほとんどは予後良好です。

 エンテロウイルス感染は、多彩な病状を示す疾患で、ヘルパンギーナの場合にもまれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを合併することがあります。前者の場合には発熱以外に頭痛、嘔吐などに注意すべきですが、項部硬直は見られないことも多いです。後者に関しては、心不全徴候の出現に十分注意することが必要です。鑑別診断として、単純ヘルペスウイルス1型による歯肉口内炎(口腔病変は歯齦・舌に顕著)、手足口病(ヘルパンギーナの場合よりも口腔内前方に水疱疹が見られ、手や足にも水疱疹がある)、アフタ性口内炎(発熱を伴わず、口腔内所見は舌および頬部粘膜に多い)などがあげられます。

治療・予防

 特異的な治療法はなく通常は対症療法のみです。発熱や頭痛などに対してはアセトアミノフェンなどを用いることもあります。時には脱水に対する治療が必要なこともあります。無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要ですが、後者の場合には特に循環器の専門診療科による治療が望まれます。

 特異的な予防法はありませんが、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどがあります。

引用:国立感染症研究所「ヘルパンギーナとは」

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏