半年以上前に更新された記事です。

 9月に注意してほしい感染症 について、流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。

【No.1】新型コロナウイルス感染症
 これまでのウイルスに比べ感染力が強いオミクロン株BA.5への置き換わりなどにより、全国的に感染者数は、高い水準にあります。

 多くの学校では夏休みが明け、新学期が始まっています。集団生活が再開することで、今後、子どもの間で感染が拡がっていくことが予測されます。また、学校での集団感染が発生し、子どもから家庭内にウイルスが持ち込まれるケースも、再度、増えると危惧しています。

 学校でできる感染対策として、マスク着用や手洗いの励行に加え、教室内ではこまめな換気を行ってください。何より重要なのが、多くの方がワクチンを接種することです。

 また、ワクチンを接種していても、感染しないわけではなく、周囲にうつさないわけでもありません。ワクチンを接種した後も決して安心しないでください。

 ワクチン接種に加え、感染対策を徹底することで、ようやくウイルスに立ち向かえるのです。

【No.2】RSウイルス感染症
 国立感染症研究所の発表では、8月半ば頃から、患者報告数は減少していますが、西日本の状況は、依然、低くない水準にあります。

 初感染した場合のインパクトは大きく、引き続き患者発生動向に注意が必要です。

 RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。通常は感染してから2~8日、典型的には4~6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。

 乳期、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、乳児期早期のお子さんがいらっしゃる場合には、感染を避けるための注意が必要です。

 発症の中心は0歳児と1歳児です。0歳児と1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくても、咳などの呼吸器症状がある場合は飛沫感染対策としてマスクを着用することが大切です。

【No.3】手足口病・ヘルパンギーナ
 手足口病はエンテロウイルスなどを病原体とする感染症で、流行は夏季に集中しています。3日~5日の潜伏期間の後に発症し、口の粘膜・手のひら・足の甲や裏などに、2~3ミリの水疱性の発疹が現れます。手足口病の感染経路としては飛沫感染、接触感染、糞口感染があげられます。保育所や幼稚園などの集団生活では、感染予防として流水・石けんを用いた手洗いの励行と、排泄物は適切に処理をしましょう。

 一方で、子どもがウイルス感染し、その後に看病にあたった大人が手足口病に感染し発症する例もみられます。職場では感染対策としてマスクを着用し、こまめに石けんを用いて手洗いを行うようにしてください。

【No.4】腸管出血性大腸菌感染症
 例年、8月から9月にかけて流行のピークを迎えることから、9月も患者発生動向に注意が必要です。

 実際、今年は昨年に比べ、高い水準で患者報告数が推移していることから、引き続き警戒してください。

 腸管出血性大腸菌は感染すると3~5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後、血便が出るケースもあります(出血性大腸炎)。また、発病者の中には、下痢など最初の症状が出てから5~13日後に、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症を発症するといわれています。主に牛や羊などの家畜や他の動物が保菌しており、牛の生肉や生のレバー等を食べると感染してしまう可能性が高くなることから、厚生労働省は、牛レバーや豚肉・豚の内臓(レバーを含む)を生食用として販売・提供することを禁止しています。

 主な感染経路は飲食物を介した経口感染であり、菌に汚染された飲食物を摂取することや、患者の糞便に含まれる大腸菌が直接または間接的に口から入ることによって感染します。

 腸管出血性大腸菌は中心部まで75℃で1分間以上加熱することで死滅するので、食事の際はしっかりと加熱することが基本です。また焼肉などでは、生肉を扱った箸やトングなどは生食用のものと使い分けましょう。

 家庭だけでなく、外食時にお肉を食べる際も、じゅうぶん加熱するようにしましょう。

【要注意】インフルエンザ
 多くの学校では夏休みが明け、新学期が始まっています。

 インフルエンザは集団生活の場で広がる可能性があり、冬にかけて感染動向に注意が必要です。

 インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。ここ2シーズンほど、インフルエンザの流行がみられず、乳幼児が初めて感染すると重症化しやすいことから、予防接種を受けることで発病率、重症化の低減につながると言われています。予防接種を受けてから、抗体ができるまで約2週間かかり、効果は約5か月間持続しますので、流行前に早めに接種することを、おすすめします。

【要注意】梅毒
 梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染すると全身に様々な症状が出ます。

 性別関係なく、患者報告数が増えています。特に女性では、梅毒に感染したと気づかないまま妊娠して、先天梅毒の赤ちゃんが生まれる可能性があるので注意が必要です。妊娠中でも治療は可能です。ほとんどの産婦人科では、妊婦健診の際に血液検査してもらえます。妊娠したら必ず梅毒の検査を受けましょう。

 早期の薬物治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏