半年以上前に更新された記事です。

皮膚に違和感があったときは… 皮膚に違和感があったときは…
 帯状疱疹は、水痘-帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症します。

 水痘とは、「水ぼうそう」のことで、感染したことがある人は、治癒した後も、体内の神経節にウイルスが潜伏した状態が続きます。

 潜伏したウイルスは、加齢やストレス、疲労等による免疫力の低下で再活発化し、帯状疱疹を引き起こします。

 また、帯状疱疹の合併症の一つとして帯状疱疹後神経痛があり、発症頻度は年齢や症例定義、報告によって異なりますが、帯状疱疹患者の10-50%で生じるとされています。

 国内外の疫学調査において、壮年層における帯状疱疹では発症から3ヶ月以上持続する疼痛が10-20%に認められます。

 帯状疱疹は、特に50歳を境に発症率が急上昇するため注意が必要です。

 今回、寄せられたのは、神奈川県にお住いの62歳の方の帯状疱疹の経験談です。

62歳・帯状疱疹に気づくのが遅れ…

 最初は、右脇腹が痛くなり筋肉痛だと思い湿布を貼りました。

 しかし、痛みが酷くなり整形外科へ。

 この時、湿布を貼っていた所がポツポツ赤くなっていたけど、かぶれだと思っていました。

 整形外科でレントゲンを撮っても異常なしで筋肉痛だろうと湿布と薬を貰いましたが、痛みは夜も眠れない位の激痛に。

 一週間後、整形外科へ行ってかぶれた所を医師に見せました。

 すると、「これは帯状疱疹だから今すぐに今日中に皮膚科に行くように」と言われて皮膚科に行くと激混み。

 内科でも診て貰えると聞いて内科に行ったら、「何でもっと早く来なかったの?」と言われました。

 その時には帯状疱疹の一部がかさぶたになり始めていました。

 抗ウイルス薬を処方して貰い、日中は何とか痛みも治まっていましたが、夜中は眠れないほどの激痛が続きました。

 抗ウイルス薬を飲み終えた後は、神経に効く薬を飲んでいますが、夜中の激痛がなくなるまで半月もかかりました。

 今は激痛ではありませんが夜中に痛みがあり、処方された薬の他に市販の鎮痛剤でしのいでいます。

 かなり酷い帯状疱疹だったので、まだかさぶた状態です。

 帯状疱疹は早ければ早いほど良いのでどこか痛いと思ったら皮膚に変化はないか、勝手に自己判断しないで早急に医療機関に行って下さい。

 もっと早く気付いていればと後悔の日々です。

感染症の専門医は…

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「帯状疱疹は、50歳以上の発症率が高くなります。発疹よりも前に、ピリピリとした表面的な痛みが出ることが多く、痛みの出ている部位に発疹が出た場合は、帯状疱疹を疑う必要があります。顔や胸腹部・背中など、どの場所に発症するかは個人差があり一概に言えません。しかし、症状を感じた場合、まずは皮膚科に相談してください。帯状疱疹は、皮膚の症状がおさまったあとも、長期間痛みが続く『帯状疱疹後神経痛』を発症する場合もあります。診断が遅れれば遅れるほど、長引く可能性もありますので、早めに受診し、治療するようにしてください。また、50歳以上の方は、帯状疱疹予防のワクチンを接種することができます。2種類のワクチンがありますが、それぞれ、接種方法や費用などが違います。希望する方は、かかりつけ医に相談してみてください。」

帯状疱疹予防としてのワクチン

 日本では、帯状疱疹を予防するワクチンが2種類あります。

 発症したとしても重症になることを予防できる効果と、発症そのものを予防できる効果もあると考えられています。

 どちらも50歳以上の方が対象となります。

 2016年3月に阪大微研が製造する『乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」』について、「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」に対する「効果・効能」が追加承認されました。接種回数は1回です。

 2018年3月には、帯状疱疹の予防のみを目的としたワクチン(シングリックスⓇ筋注用)が薬事承認されました。

 接種回数は2回で、接種間隔は1回目から2か月以上あけて、6か月以内に2回目を接種します。

 帯状疱疹予防としてのワクチンは、任意接種のワクチンとなりますので、接種費用は基本的に自費となります。

 自治体によっては一部助成しているところもありますので、お住まいの自治体へお問い合わせください。

まとめ

 帯状疱疹の症例調査「宮崎スタディ」によると、『発年齢別・性別の患者数については、男女とも10代に小さなピークがあり、20~30代でやや下がるが、50代で急上昇し、60代で最も大きなピークがみられた』との結果が出ています。

 どの世代であっても、発症の可能性はあるので、年齢に関係なく注意が必要です。

引用:厚生労働省「帯状疱疹ワクチン ファクトシート 平成29(2017)年2月10日 国立感染症研究所」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏