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前回から5か月経ったら接種の検討を 前回から5か月経ったら接種の検討を
 オミクロン株BA.5による第7波の勢いがなかなか衰えない新型コロナウイルス感染症。

 8月23日に新たに確認された感染者数は、全国で約20万人。

 東京、大阪では2万人を超えています。

 しかし、直近1週間の人口10万人あたりの感染者数を見ると、上位は鹿児島、宮崎、徳島、佐賀、長崎など西日本の県が多く、流行は大都市に限らず、依然として全国規模で続いています。

 全数把握の見直しなど、新たな局面を迎えつつある新型コロナウイルス感染症について、感染症の専門医である安井良則医師に聞きました。

お盆休みが終わった影響は?

 まず、お盆休み後の流行の状況については、「データを見る限りにおいては、感染者数は減少傾向にありますが、お盆期間のデータということで、病院や検査機関の休みの影響を受け、数字が下がっているのではないかと思われます。実際は、お盆休みに大都市圏と地方との人的交流が行われたことや、規模の大きなお祭り(準備期間も含む)などで人が密に交わったことで、感染が広がっているのではないかと考えています。影響は、今後のデータで明らかになると思います」

医療ひっ迫は続いている

 安井医師の勤務する大阪府済生会中津病院では、入院患者が再び増加傾向にあるそうです。

 「お盆休みが終わった今、新型コロナウイルス感染症の入院患者が再び増えていて、症状が重く人工呼吸器をつける患者さんもいます。50代と60代の方ですが、それぞれ基礎疾患があり、ワクチンを1度も接種していない方は、症状が重い傾向があります。」

新型コロナワクチンの4回目接種のタイミングは?

 重症化の予防が期待されている新型コロナワクチンですが、現在接種が行われているワクチンは、流行中のオミクロン株には対応していません。

 しかし、オミクロン株にも対応する新しいワクチンが開発されており、日本でも今年の秋以降に導入が検討されています。

 では、これから4回目のワクチン接種を考えている方は、新しいワクチンの導入を待ったほうがいいのでしょうか。

 これについて安井医師は、「ワクチンの効果は、時間とともに下がっていきます。現在のワクチンでも重症化を防止する効果はあるので、特に高齢の方や基礎疾患がある方で、前回の接種から5か月以上間隔が空いている場合は、今のワクチンを早めに接種することを勧めます」と話しています。

新型コロナワクチンの4回目接種

 厚生労働省によると、新型コロナワクチンの第4回目接種の対象者は、3回目接種又はそれに相当する接種から5か月以上経過していて、

・60歳以上の方
・18歳以上60歳未満で、基礎疾患を有する方
・新型コロナウイルス感染症にかかった場合の重症化リスクが高いと医師が認める方
・医療従事者等及び高齢者施設等の従事者

で、接種を行う期間は9月30日までの予定とのことです。

 60歳以上の方には、お住いの市町村から4回目接種用の「接種券」と「新型コロナワクチン4回目接種のお知らせ」が届きますが、60歳未満の方で接種対象となる方については、接種券の配布方法が自治体によって異なります。お住いの市町村からのお知らせをよくご確認ください。

 新型コロナワクチンは、接種後に様々な症状(発熱、倦怠感、注射した部分の痛みほか)の副反応が現れる場合があるので、注意してください。

夏休みが終わっても、気を緩めずに

 安井医師は、学校が夏休みの期間は、若年層の感染者は減少しましたが、再び登校が始まると、人の交流が増え、再び増加に転じる可能性があると話しています。それに伴い、各年代にも再び感染が広がるおそれがあります。BA.5は軽症者が多いとはいえ、39℃を超える高熱が出るケースもあり、できれば感染しないで済ませたいものです。感染リスクの高い行動は控え、「マスクの着用」「手洗い」「3密(密接・密集・密閉)回避」「換気」などの基本的な感染対策は、引き続いて徹底しましょう。1人ひとりの行動が、大切な人と私たちの日常を守ることにつながります。

引用
厚生労働省 新型コロナワクチンについて

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏