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 咽頭結膜熱の流行が始まる時期を迎えました。

 国立感染症研究所の2022年第21週(5/23~29)IDWR速報データによると、咽頭結膜熱の患者報告数は先週よりも増えています。先週の2022年第20週(5/16~22)までの累積患者報告数(小児科定点:約3,000か所)は、全国で569人でしたが、今週は992人で約1.7倍となっています。

 咽頭結膜熱は、アデノウイルスに感染することにより、発熱・のどの痛み・結膜炎といった症状が現れます。

 例年、6月頃から流行が始まり、7~8月頃に流行のピークを迎えます。

 感染症の専門医で大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、アデノウイルスは原因不明の小児急性肝炎との関連も疑われているため、国内の咽頭結膜熱の患者報告数の動向には、しばらくの間、注意が必要としています。

咽頭結膜熱の症状

・発熱(38~39℃)
・咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)
・結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)

 発熱は5日間ほど続くことがあります。眼症状は一般的に片方から始まり、その後、他方に症状があらわれます。高熱が続くことから、新型コロナウイルス感染症とも間違えやすい症状です。吐き気、強い頭痛、せきが激しい時は早めに医療機関に相談してください。

感染経路

 咽頭結膜熱の感染経路は、主に接触感染と飛沫感染です。

 原因となるウイルスは、アデノウイルスで感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接的な接触でも、感染が広がります。

治療方法

 特効薬などはなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。

予防方法

 流水・石鹸による手洗いとマスクの着用です。物品を介した間接的な接触でも感染するため、しっかりと手を洗うことを心がけてください。アデノウイルスは、環境によりますが、数日間活性を保っています。施設や家庭などで患者が発生している場合は、よく手を触れるものを中心に消毒することも、重要な予防方法となります。

引用:国立感染症研究所「咽頭結膜熱とは」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏