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 例年、咽頭結膜熱の流行が始まる時期を迎えました。

 咽頭結膜熱はアデノウイルスが原因で、その名の通り、発熱や咽頭炎のほか結膜炎などを発症します。

 国立感染症研究所の2022年第19週(5/9〜15)の感染症流行状況データによると、咽頭結膜熱の患者報告数は増えています。先週(5/2〜8)までの患者報告数は、ほぼ横ばいでしたが、5月の大型連休で医療機関が休診している場合も多いためと考えられます。今後も、感染者数の動向を注視したいところです。

 気になるのが、イギリスやアメリカなど、世界各国で報告されている、原因不明の小児急性肝炎とアデノウイルスとの関連です。

 原因不明の小児肝炎については、イギリスでは、126例中91例(72%)の症例でアデノウイルス陽性が確認されていますが、関連については分かっていません。

 厚生労働省の2022年5月20日の発表によると、2021年10月から2022年5月19日10 時までに国内で報告された、原因不明の小児急性肝炎の入院症例の累積報告数は24例にのぼり、PCR検査の結果、うち2件でアデノウイルスを検出。

 肝炎の発症原因については、調査中であり、現段階で、確定例はないとしています。

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、「原因不明の小児急性肝炎とアデノウイルスの関連は現時点で不明です。しかし一般に、咽頭結膜熱や流⾏性⾓結膜炎などアデノウイルスを原因とする感染症が国内で流行するのは、5月以降であり、今後の感染者数の動向と、小児急性肝炎の間に関連があるのか注視したい」としています。

 厚生労働省は、現時点で、死亡例や肝移植が必要な例は国内ではないとしながらも、引き続き、各国政府やWHO(世界保健機関)と連携し、情報収集に努めたいとしています。

 急性肝炎は、症状が現われない人がいる一方で、食欲不振、全身倦怠感、悪心・嘔吐・下痢などの症状や皮膚が黄色くなる黄疸が出る場合もあります。お子さんの体調の変化には注意が必要です。

引用:厚生労働省「小児の原因不明の急性肝炎について」(令和4年5月20日)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏