半年以上前に更新された記事です。
2022年第12週(3/21~27)の時点で、全国における梅毒の累積患者報告数は、過去10年で最多となっています。
昨年同時期の累積患者報告数は1,366人でしたが、2022年第12週時点では2,219人です。比較すると約1.7倍となり、年間の患者報告数が過去最多となった昨年を大きく上回っています。
梅毒は放置すると病気が進行する
梅毒について、感染症専門医の大阪府済生会中津病院の安井良則医師に、お話を伺いました。(安井医師)梅毒の累積患者報告数は、2022年第12週の時点で2,219人と、昨年同時期の1,366人を大きく上回っています。昨年の年間累積患者報告数は7,873人で、過去10年で最多となりましたが、今年は年間で1万人を超える可能性も考えられます。
梅毒とは、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染すると全身に様々な症状が出ます。近年再び流行しつつあり、若い方、特に男性に流行しています。性風俗店の利用や従事なども含め、不特定多数の人との性的接触は感染リスクにつながります。もし心当たりがあれば、すぐに皮膚科を受診してください。梅毒と診断されたら、今は治療方法がありますので、きちんと完治するまで治療しましょう。
怖いのは治療せずに放っておくことです。特に若い女性が梅毒にかかったことを知らずに、何年か後に妊娠・出産すると先天梅毒に罹患した子どもが生まれる可能性があります。放置しておくと知らない間に病気が進行していきます。まずは梅毒についての正しい知識を知ってください。基本的に皮膚科が専門的にみる病気なので、皮膚科を受診しましょう。
梅毒と診断された場合は、すぐに治療を受けましょう。梅毒はきちんと治療すれば治る病気です。
地域別 累積患者報告数が多い順(2022年第12週時点)
・東京都(683人)・大阪府(223人)
・愛知県(139人)
・埼玉県(104人)
・神奈川県(84人)
不特定多数の人との性的接触が感染リスクを高める
国立感染症研究所によると、梅毒は、男女の異性間での性的接触による報告数が増加傾向です。例年以上に患者報告数が増えていることから、正しい知識を持ち、予防につとめることが大切です。【梅毒について】
・不特定多数の人との性的接触が感染リスクを高める
・オーラルセックスやアナルセックスでも感染する
・コンドームを適切に使用することでリスクを下げられる
・梅毒が疑われる症状、例えば性器の潰瘍などに痛みがなくなり、自然消失したとしても治癒したわけではなく、医療機関での治療が必要
・梅毒の陰部潰瘍は、HIVなど他の性感染症の感染リスクを高める
・梅毒は、終生免疫を得られず、再感染することがある
もしも、心当たりがある場合にはすぐに検査を受け、早期に治療を開始しましょう。
引用:国立感染症研究所「IDWR 2021年第47号<注目すべき感染症> 梅毒」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏