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 4月に注意してほしい感染症ランキング1位から順に、流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。

【No.1】新型コロナウイルス感染症
 新規感染者数は再び増加傾向に転じています。まん延防止等重点措置が終わり、人出が増えてきていることや、感染力が強いオミクロン株のBA.2系統に置き換わりが進んでいるとみられることから、今後さらに患者報告数が増える可能性があります。新型コロナ対策の専門家会議によると、オミクロン株は潜伏期間が短いため、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されているとしています。

 春の入学や就職で移動の機会が増えることから、引き続きマスクの正しい着用、手指衛生、こまめな換気、重症化予防としてワクチン接種など、基本的な感染対策をしていきましょう。

【No.2】A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、例年春に患者報告数が増え始め、学童を中心に広がります。新学期以降、気を付けてほしい感染症です。学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意しましょう。

 感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には手洗い、うがい、咳エチケットなどが有効です。

【No.3】咽頭結膜熱
 咽頭結膜熱は、例年5月から患者報告数が増え始める感染症です。症状は風邪とよく似ていますが、発熱、咽頭痛、結膜炎です。発熱は5日間ほど続くことがあります。眼の症状は一般的に片方から始まり、その後、他方に症状があらわれます。高熱が続くことから、新型コロナウイルス感染症とも間違えやすい症状です。吐き気、強い頭痛、せきが激しい時は早めに医療機関に相談してください。感染経路は、主に接触感染と飛沫感染です。原因となるアデノウイルスの感染力は強力で、直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接的な接触でも、感染が広がります。特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。

 予防方法は、流水・石鹸による手洗いとマスクの着用です。物品を介した間接的な接触でも感染するため、しっかりと手を洗うことを心がけてください。

【No.4】梅毒
 梅毒の患者報告数は、昨年は過去10年で最多の患者報告数でした。今年に入り、昨年同時期を上回る患者報告数となっており、今後の発生動向に注意が必要です。特に、関東での患者報告数が多くあがっています。新生活が始まる時期ということもあり、開放的な気持ちになるかもしれませんが、梅毒は年代問わず広がっている感染症ですので、気をつけましょう。

 梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。原因は梅毒トレポネーマという病原菌で、病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。感染すると全身に様々な症状が出ます。早期の薬物治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏