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感染性胃腸炎の患者報告数が、各地で増加傾向です。
国立感染症研究所の2022年第3週(1/17~23)定点当たりの患者報告数によると、地域別に多い順位は、大分県(18.83人)、山形県(18.24人)、宮崎県(12.89人)となっています。
今回は感染性胃腸炎について、大阪府済生会中津病院の安井良則医師にお話を伺いました。
嘔吐物や下痢便は適切に処理をしましょう
(安井医師)例年この時期は、感染性胃腸炎の患者報告数が多い時期です。患者報告数は、他の感染症と比べて増えつつあります。昨年は患者報告数が少なかったため、今年は多く感じますが、1月と2月は感染性胃腸炎の多い時期であり、例年並みの患者報告数となっています。予防方法としては、食べ物はできるだけしっかり加熱するようにしましょう。感染性胃腸炎によるものと考えられる嘔吐物や下痢便の処理は、次亜塩素酸ナトリウム系(塩素系消毒剤)を用いて、適切に行いましょう。
感染性胃腸炎の中でも冬季に多い「ノロウイルス感染症」
感染性胃腸炎の原因とされるウイルスはロタウイルス、ノロウイルス等があげられます。その中でも冬季に流行がみられるのは「ノロウイルス感染症」です。ノロウイルスは、感染者の嘔吐物や便などに存在するため、処理には注意が必要です。ウイルスが付着した可能性のある物品の消毒については、次亜塩素酸ナトリウムを用いて行いましょう。使用する濃度は500ppmが推奨されます。熱湯での消毒を行う場合は、85℃以上で煮沸が効果的です。ただし、熱湯による消毒は食器や衣類や布製品の一部等、使用できる範囲は限定的です。
ノロウイルスの感染症の意外な感染源
ノロウイルス感染症の意外な感染源が、「舞い上がったホコリ」です。嘔吐物や下痢便に対して、適切な処理をしない場合、その場所に残っているノロウイルスがホコリとともに舞い上がり、その日だけでなく、数日を経ても、その場所を歩いただけの人がノロウイルスを吸い込んで感染してしまうことがあります。そのため、ノロウイルスに関係していると考えられる嘔吐物や下痢便を発見した場合には、しっかりとペーパータオル等で拭き取り、取り除いたあとの場所を、塩素系の消毒剤でしっかりと消毒しましょう。ノロウイルス感染症と診断された場合の注意点
嘔吐物や下痢便にはウイルスが大量に含まれています。嘔吐や下痢などの症状が改善しても24時間は、自宅で様子をみるようにしましょう。症状がなくなったからといって、登園もしくは登校させると、集団感染につながるおそれがあります。
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏