半年以上前に更新された記事です。
2月に注意してほしい感染症ランキング1位から順に、流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。
【No.1】新型コロナウイルス感染症
オミクロン株の感染拡大により、全国の新規患者報告数が急速に増加しています。年代別の割合では、10歳未満の報告数が増加傾向です。追加接種が始まっているので、重症化リスクのある高齢者など、早期に接種をすすめることが重要です。オミクロン株を中心とした流行の拡大は、1月から2月にかけて患者報告数の急増が予想され、全国的にさらに拡大する恐れがあります。非常に警戒が必要です。情報に一喜一憂することなく、ワクチン接種者も含め、引き続きマスクの正しい着用、手指衛生といった基本的な感染対策をしましょう。密閉空間にならないよう、部屋のこまめな換気を心がけてください。
【No.2】感染性胃腸炎
感染性胃腸炎は、冬場に注意してほしい感染症です。患者報告数は、他の感染症と比べて増えつつあります。
昨年は患者報告数が少なかったため、今年は多く感じますが、1月と2月は感染性胃腸炎の多い時期であり、例年並みの患者報告数となっています。予防方法としては、食べ物はできるだけしっかり加熱するようにしましょう。感染性胃腸炎によるものと考えられる嘔吐物の処理は、次亜塩素酸ナトリウム系(塩素系消毒剤)を用いて、適切に行いましょう。使用する濃度は500ppmが推奨されます。嘔吐や下痢などの症状が改善しても24時間は、自宅で様子をみるようにしましょう。症状がなくなったからといって、登園もしくは登校させると、集団感染につながるおそれがあります。
【No.3】RSウイルス感染症
RSウイルス感染症は、1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすい感染症です。子どもの間で新型コロナが増えていることから、新型コロナの検査と同時にRSウイルス感染症の検査をすることが増えると予想されます。その理由として、新型コロナとRSウイルス感染症の症状の中でも「発熱」「咳」「鼻水」が似ている点があげられます。多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。昨年と同様、九州地方を中心に、西日本から各地にひろがっていく恐れがあり、2月から3月にかけて注意が必要です。
RSウイルス感染症について詳しく見ていきましょう。RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2~8日、一般的には4~6日で発症します。お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。感染経路は、飛沫感染や接触感染です。ワクチンはまだ実用化されていないため、手洗い、うがい、マスクの着用を徹底しましょう。家族以外にも保育士の方など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。
【No.4】A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は、学童を中心に広がる感染症です。1月から2月にかけて患者報告数の増加が予想されます。学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意しましょう。感染すると、2~5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。発熱や咽頭痛など、新型コロナの症状と似ており区別がつきにくいため、症状が疑われる場合は速やかにかかりつけ医を受診しましょう。主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。感染の予防には、手洗い、うがい、咳エチケットなどが有効です。
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏