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RSウイルス感染症の患者報告数が、局地的に増加傾向です。
国立感染症研究所によると、2021年には第19週以降(5/10~16)、継続的に患者報告数が増え始めました。第24週以降は毎週全ての都道府県から、例年よりも多い患者報告数が上がり、全国的な流行がみられました。
2021年第50週(12/13~19)のデータでは、定点当たりの患者報告数が多い順に、鹿児島県(3.59人)、沖縄県(2.56人)となっており、前週に比べて患者報告数は増加しています。
RSウイルス感染症の現在の流行状況について、感染症専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師にお話を伺いました。
現在の流行状況
(安井医師)昨年、RSウイルス感染症は4月以降、九州地方から患者報告数が増え始め、全国的な流行となりました。秋には患者報告数が落ち着きを見せ始めたものの、鹿児島県や沖縄県など、九州地方の一部の地域では、患者報告数が減り切っていないままですので、全国に波及するおそれがあります。また、昨年と同様に流行の時期が前倒しになる可能性も考えられます。RSウイルス感染症は例年、冬期に流行がみられる感染症ですが、ここ数年は夏期に患者報告数の増加がみられています。昨年は4月以降に患者報告数が増え始め、7月頃に流行のピークを迎えました。
新型コロナウイルス感染症の流行の影響から、他の感染症が例年より流行しにくいのではという見方もあるようです。しかしRSウイルス感染症が、コロナ第4波の最中に全国的に流行したことから、引き続き発生動向を注視していきたいところです。
RSウイルス感染症の症状
RSウイルス感染症は、病原体であるRSウイルスによっておこる呼吸器感染症です。潜伏期間は2~8日、一般的には4~6日で発症します。発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続き、初感染の小児の20~30%では、その後、下気道症状があらわれると言われています。感染が下気道、とくに細気管支に及んだ場合には特徴的な病型である細気管支炎となります。
多くの場合は軽い症状ですみますが、重い場合には咳がひどくなり、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。RSウイルス感染症は乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。お子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。
感染経路
RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみ、又は会話をした際に飛び散るしぶきを浴びて吸い込むことにより、飛沫感染します。感染している人との直接の濃厚接触や、ウイルスがついている手指や物(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり又はなめたりすることによる、間接的な接触感染でも感染します。予防方法
RSウイルス感染症には特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法になります。RSウイルス感染症のワクチンはまだ実用化されていません。予防方法としては手洗い、うがい、咳エチケットなどが有効です。咳などの呼吸器症状がある場合は、飛沫感染の対策としてマスクを着用して子どもに接することが大切です。接触感染の対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すり等はこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生の徹底が重要です。
引用:厚生労働省「RSウイルス感染症Q&A」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏