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国立感染症研究所によると、第43週(10/25~31)以降、咽頭結膜熱の患者報告数が増加しています。
咽頭結膜熱は夏と冬の2回、流行がみられる感染症です。冬は、特に12月に流行がみられます。
感染症専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師に、お話を伺いました。
風邪とよく似た症状
(安井医師)咽頭結膜熱は、アデノウイルスが原因の感染症です。主にアデノウイルス3型の流行がみられます。症状は風邪とよく似ていますが、発熱、咽頭痛、結膜炎です。
夏と年末の2回、流行のピークを迎えます。ことしは夏場に目立った流行はみられませんでしたが、寒くなるにつれて、患者報告数は増え始めています。
今後、広範囲にわたって患者報告数が増える可能性もありますので、発生動向を注視していきたいところです。
基本の予防方法は、流水と石鹸による手洗いです。また、飛沫感染の予防として、マスクを着用しましょう。
症状
・発熱(38~39℃)・咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)
・結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)
発熱は5日間ほど続くことがあります。眼症状は一般的に片方から始まり、その後、他方に症状があらわれます。
高熱が続くことから、新型コロナウイルス感染症とも間違えやすい症状です。吐き気、強い頭痛、せきが激しい時は早めに医療機関に相談してください。
感染経路
咽頭結膜熱の感染経路は、主に接触感染と飛沫感染です。原因のウイルスは、アデノウイルスで、感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接的な接触でも、感染が広がります。
治療方法
特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。予防方法
流水・石鹸による手洗いとマスクの着用です。物品を介した間接的な接触でも感染するため、しっかりと手を洗うことを心がけてください。アデノウイルスは、環境によりますが、数日間活性を保っています。施設や家庭などで患者が発生している場合は、よく手を触れるものを中心に消毒することも、重要な予防方法となります。
引用:厚生労働省「咽頭結膜熱について」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏