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2021年の梅毒の患者報告数が、過去最高を更新しました。
国立感染症研究所の発表によると、第47週(11/22~28)までの患者報告数は6,940人となり、これまでに最多の患者報告数となった2018年の6,923人を上回りました。
「梅毒」とは、一体どのような感染症なのでしょうか。
この疑問について、感染症専門医の大阪府済生会中津病院の安井良則医師に取材しました。
性感染症は10代の頃から正しい知識を持つことが必要
(安井医師)梅毒は性感染症の一種で、古くからある感染症ですが、国内では近年大きな流行はありませんでした。しかし、ここ数年で増加がみられるようになり、2021年は、過去10年で最多の患者報告数です。第47週(11/22~28)で、6,940人の報告があり、年末までに7,000を超える患者報告数になるのではと予想しています。
特に、20代の女性の患者報告数が多いのが気がかりです。梅毒という感染症そのものに対する知識や関心がなく、感染しても、気づかないで進行してしまうケースもあります。
まず、梅毒という感染症を知っていただきたいです。
特に10代の頃から、性感染症についての正しい知識を持つための教育が必要だと感じています。梅毒の感染経路や、感染した場合にどのような症状が出て、病態が進むと体にどのような影響があるのか、情報提供を含めて教育する体制づくりが必要です。
梅毒にかかっているかも知れないと考える場合、皮膚科を受診し、検査してもらいましょう。皮膚科の先生は、梅毒の症状や治療に詳しく、フォローアップして下さる先生が多いです。陰部にしこりや、できものができている場合は、泌尿器科や産婦人科を受診しても良いですが、基本的にはまず皮膚科で相談してください。
梅毒は、治療して完治できる感染症です
梅毒は、早期の治療で完治が可能です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。
時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で治療をやめてしまわないようにすることが重要です。また完治しても、感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要です。
梅毒かどうか疑わしい場合は、まず皮膚科を受診し、検査をしてもらいましょう。
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏