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 11月15日に開かれた厚生労働省の専門部会で、2022年からHPVワクチンの積極的勧奨の再開が正式に決定しました。

 現在、小学校6年から高校1年相当の女子は公費助成の対象であり、無料で接種できます。

 専門部会では、HPVワクチンの積極的な勧奨の差し控えにより、接種機会を逃した方に対しての接種に関しても検討されました。積極的勧奨が差し控えられた2013年以降に、接種対象年齢であった17歳〜25歳までの女性は、接種率が低いとされています。

 公平な接種機会を確保する観点から、期間を定め、定期接種の対象年齢を超えて接種を行うことが検討されます。対象者や期間、周知方法や勧奨についても、今後の専門部会で審議される予定です。

 HPVワクチンについて、感染症専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師にお話を伺いました。

積極的勧奨が再開で、子宮頸がんの罹患率が下がることを期待

 (安井医師)日本では、子宮頸がんの罹患率が高く、特に若い女性の罹患率が高いです。

 一方、海外ではHPVワクチンを接種している方が多く、子宮頸がんの罹患率も減少しています。海外の事例では、男性が性病ワクチンとして接種することもあり、HPVワクチンはがんや性病を含む、何種類かのヒトパピローマウイルスに効くので、男性も接種しておけば他人にうつす心配がなくなると考えられます。

 若い女性が子宮頸がんになった場合、病態の進行状況によっては、子宮を摘出する手術が行われます。また、悲しいことですが、病態が進行して、若くして亡くなる事例もあります。

 勧奨再開により、HPVワクチンに対して正しい知識を持って、ワクチンを受けられる方が増えることで、子宮頸がんにかかる方が減ってほしいと願っています。

子宮頸がんとHPVワクチン

 厚生労働省は、HPVワクチンの定期接種の対象者に送付しているリーフレットで、子宮頸がんとHPVワクチンについての情報を載せています。

 それによると、子宮頸がんは、子宮の頸部という子宮の出口に近い部分にできるがんです。

 日本では毎年、約1.1万人の女性がかかる病気で、毎年およそ2,800人の女性が亡くなっています。患者さんは20歳代から増え始めて、30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまい、妊娠できなくなってしまう人も毎年、約1,200人います。

 ほとんどの子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染が原因です。早期に発見し、手術等の治療を受ければ、多くの場合、命を落とさず治すことができる病気です。病状によって手術の方法は異なりますが、子宮の一部を切り取ることで、妊娠したときに早産のリスクが高まったり、子宮を失うことで妊娠できなくなったりすることがあります。

 HPVワクチンの定期接種の対象者は、小学校6年〜高校1年相当の女子です。間隔をあけて、同じワクチンを合計3回接種します。子宮頸がんの原因の50〜70%を占める、HPV16型と18型の感染を防ぐことができます。※子宮頸がんの予防に当たっては、あわせてがん検診を受診することが重要です。

まずは情報を知り、よく理解してから

 HPVワクチンの安全性や有効性については、各自治体から接種対象者に送付されたリーフレットで、情報を得ることができます。

 対象者本人が、子宮頸がんやHPVワクチンについてよく理解し、接種について検討・判断して、希望する方はワクチン接種を受けることができます。

引用:厚生労働省「第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」(令和3年11月15日)
「HPVワクチンリーフレット 令和2(2020)年度版」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏