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 国立感染症研究所によると、2021年第1週〜41週(1/4〜10/17)までに診断され、感染症法に基づく医師の届出による梅毒として報告された症例数は、5,816例あります。報告都道府県別では、東京都1,844例、大阪府627例、愛知県299例、福岡県262例、神奈川県227例、埼玉県223例と、特に関東周辺でひろがっています。

 年齢別では、女性は20〜24歳(652例:女性報告全体の33%)が、最も報告数の多い年齢です。

 妊婦が感染すると菌は胎盤を通じて胎児に感染し、流産、場合によっては胎児が亡くなってしまったり、先天梅毒を起こす可能性があります。

 胎児が感染し、先天梅毒にかかって出生した場合、低出生体重や骨軟骨病変などのリスクが伴いますので、早期に治療を開始することが大切です。

 大阪府済生会中津病院に勤務する、安井良則医師は先天梅毒に関して、次のように述べています。

先天梅毒は、早くから正しい知識を学ぶことにより防げる

 (安井医師)梅毒は、感染しても無症状の場合が多いことから、気づかないうちに病態が進行します。

 20代前半の女性の報告数が多いことから、その方たちが梅毒に感染したことを気づかず妊娠して、胎児が先天梅毒になってしまうおそれも考えられます。

 国立感染症研究所によると、2021年の梅毒報告数において、男性は多くが20〜54歳の各年齢群より報告されており、男性報告全体の85%です。報告数が最も多い年齢群は、25〜29歳で男性報告全体の14%にあたります。

 女性は15〜34歳の年齢群から多く報告されており、女性報告全体の73%です。最も報告数の多い年齢群は20〜24歳で、女性報告全体の33%にあたります。

 また、先天梅毒は15例報告されていることから、母子感染の増加も懸念されています。

 梅毒は、治療法が確立されていますので、自分で気がついて治療を受けるのが一番です。正しい知識を持っていれば、予防も治癒することも可能な感染症です。

 検査に関しては、医療専門職の方であっても、妊婦さんの症状や所見だけで先天梅毒を疑うことは難しいため、梅毒の流行状況や母親の背景などを考慮に入れることで、先天梅毒の適切な診断と治療につながると考えています。

 一般の方も、早いうちから梅毒に関する正しい情報や知識を知って、予防につとめることが大切です。

先天梅毒の症状

 先天梅毒は、梅毒に感染している母体から、胎盤を通じて胎児に伝播される多臓器感染症です。

 早期先天梅毒の発症年齢は、生まれた時〜生後3か月であり、出生時は無症状で、身体所見は正常な子どもが約3分の2います。

 生後まもなく水疱性発疹、斑状発疹、丘疹状の皮膚病変に加え、鼻閉、全身性リンパ節腫脹、肝脾腫、骨軟骨炎などの症状が認められます。

 晩期先天梅毒では、乳幼児期は症状を示さずに経過し、学童期以後にハッチンソン3徴候と呼ばれる、実質性角膜炎、内耳性難聴、ハッチンソン歯(歯の形成異常)などの症状がみられます。

母子感染は早期発見と適切な治療で防げます

 梅毒は妊娠中に治療をおこなうことが可能ですが、選択できる治療薬が限られるなど、母体と胎児への影響を考えながらおこないます。妊娠中の治療により、胎盤を通して胎児も治療可能ですが、治癒できない場合には、新生児は出産後に改めて治療をします。

 症状の進行状況により、選択できる薬や、治療の期間も変わります。赤ちゃんに梅毒を感染させないためにも、妊娠したら早めに妊婦健診を受け、必要な場合にはパートナーも含めて、治療をおこないましょう。

引用:国立感染症研究所「梅毒とは」
「IDWR 2021年 第41号 <注目すべき感染症> 梅毒」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏