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びせいぶつ芸能社(コックサッキーとエンテーロと免疫ちゃん) びせいぶつ芸能社(コックサッキーとエンテーロと免疫ちゃん)
 国立感染症研究所によると、第33週(8/16~22)以降、手足口病の感染者数は増加傾向です。

 手足口病は例年、夏に流行し、7月下旬にピークを迎えますが、ことしは8月中旬より流行をみせはじめました。

 最新の第41週(10/11~17)の定点当たりの感染者数のデータでは、九州地方で警報レベルの5.0人を超える地域が、大分県や福岡県を含め5県にのぼり、引き続き増加傾向がみられます。

 また、中国地方では、山口県で警報レベルを超える7.33人と報告されており、今後の感染動向に注意が必要です。

 厚生労働省によると、手足口病は子どもを中心に発病がみられる感染症です。理由としては、乳幼児では原因となるウイルスに感染した経験のない者の割合が高く、感染した子どもの多くが発病するためです。

 また、保育施設や幼稚園などでは、子どもたち同士の生活距離が近く、濃厚な接触が生じやすい環境であることや、衛生観念がまだ発達していないことから、集団感染が起こりやすいとされています。

 一方で、子どもがウイルス感染し、その後に看病にあたった大人が手足口病に感染し、発症する例もみられます。

 「感染症・予防接種ナビ」にも、大人が感染し、発症した手足口病の経験談が寄せられました。最初にお子さんが感染して症状が出た後に、家庭内で感染し、高熱や激しい喉の痛み、手足の発疹などがみられたそうです。

大阪府 大吉さん(30歳)感染経路:我が子からの感染

 現在療養中ですが、症状も軽くなり、心身ともに落ち着いてきたことから、何かの参考になればと思い、投稿させていただきました。

 私の子供が通っている保育園で手足口病が流行っているとのことで、1歳の息子が感染。

 39度の発熱と食欲不振になり、後日手足に湿疹が現れたことから、手足口病と診断を受ける。

 その3日後、5歳の娘が喉の痛み、40度の発熱を経て、手足に湿疹が現れたことから、手足口病と診断を受ける。

 我が子の発症から約1週間後、突如倦怠感に襲われる。夜勤明けだったこともあり、仕事疲れかと考えるも、日中にとてつもない悪寒がする。

 この日は半袖でも暑いくらいの気温。嫁とスーパーに行くも、食品コーナーが寒過ぎて耐えられず、エンジンを切ったままの車の車内で買い物が終わるのを待つ。

 帰宅後、熱を測ると39.2度の発熱。解熱剤を飲み、早めに寝る。

 翌朝も38度の熱、激しい喉の痛み。次の日、熱は下がるが、手足に湿疹を認める。この時はまだ痒くない。

 そして次の日、湿疹が足にも広がり、激しい痒みで夜もまともに寝れず、寝不足になる。病院で手足口病と診断を受け、医師からは子供の病気と笑われる。

 現在、痒みは治まるも、手足に水疱のような湿疹多数のため、職場では手袋を着用して勤務。

 とても辛いです。なめてました。チョコレート食べると喉が焼けるように痛みます。早く好きなもの食べたいです。

大人が感染し、発症した場合は

 感染症専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師に、大人の手足口病について、お話を伺いました。

 (安井医師)手足口病は、子どもの頃にかかって、免疫をつけていくことが多いため、特に珍しい感染症ではないと言えます。しかし、感染しないまま大人になると、免疫がないため発症する例もあります。

 発疹が出た状態で、出勤すると周りに感染させてしまうのではないかとおっしゃる方もいますが、咳やくしゃみをした時の飛沫で、他の方に感染する可能性があります。手足口病は、最初に喉からウイルスが入り、手足にも症状が出ます。

 職場では感染対策として、マスクを着用し、こまめに石けんを用いて手洗いを行うようにしてください。

手足口病の感染を防ぐには

 手足口病には、有効なワクチンや発病を予防できる薬が、まだありません。

 そのため、一般的な感染対策として、飛沫感染や接触感染を予防するために手洗いをしっかりと行い、排せつ物を適切に処理しましょう。

 特に、保育施設などの乳幼児の集団生活では、感染を広げないために、職員と子どもたちが、しっかりと手洗いをすることが大切です。特におむつを交換する時には、糞口感染を防ぐため、排せつ物を適切に処理し、その後にしっかりと手洗いと消毒をしてください。

 ※糞口感染…ウイルスを含む糞便が手指に付着し、これが口などに入ることによる感染。

 手洗いは流水と石けんで十分に行ってください。また、タオルの共用はしてはいけません。

 手足口病は、治った後も比較的長い期間、便の中にウイルスが排せつされます。また、感染しても発病しないままウイルスを排せつしている場合もあると考えられることから、日頃からのしっかりとした手洗いと消毒が大切です。

<おことわり>ご紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。
◇感染症・予防接種ナビでは、みなさまからの手足口病の経験談を募集しています。

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏