10月に注意してほしい感染症について、流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。

【No.1】新型コロナウイルス感染症
 第5波は現在、全国的に新規感染者数の減少が続いています。それに伴い、療養者数や重症者数も減少傾向にあります。ワクチン総接種回数は9月28日時点で1億6千万回を超え、特に高齢者のワクチン2回接種率は89%と高く、接種が進むことによる効果が期待されています。

 しかし、接種したからといって、感染しない、もしくは周りに感染させないというわけではありません。密集場所・密接場面・密閉空間を避け、適切なマスクの使用(乳幼児以外)、手洗いの励行、適切な換気を行うといった、基本的な感染対策を徹底しましょう。

 一方で、新たな変異株(ミュー株)などの登場により、今後、感染者数がどのような推移をたどるのか、引き続き注視していく必要があります。

【No.2】手足口病・ヘルパンギーナ
 例年、手足口病の流行は7月下旬にピークを迎えることが多いですが、8月下旬より報告数が増え始めています。

 手足口病は、エンテロウイルスなどを病原体とする感染症で、流行は夏に集中しています。3日から5日の潜伏期間の後に発症し、口の粘膜・手のひら・足の甲や裏などに、2〜3ミリの水疱性の発疹が現れます。

 手足口病の感染経路としては飛沫感染、接触感染、糞口感染があげられます。保育園や幼稚園などの乳幼児施設における流行時の感染予防は、手洗いの励行と排泄物の適正な処理が基本となります。

 同じウイルス属のヘルパンギーナも、例年、5月頃より増え始め、7月頃にピークを迎えて8月頃に減少し始め、9月〜10月にかけては、ほとんど見られませんが、今年は季節外れの流行をみせています。

 喉からウイルスが排出されるため、咳をしたときのしぶきにより感染します。感染者との密接な接触を避けることや、流行時にうがいや手指の消毒を励行することが大切です。

【No.3】A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は小児の集団生活で気をつけてほしい感染症です。

 鳥取県では2021年36週(9/6〜12)に比べて患者数の伸びが見られ、九州地方では福岡県や長崎県でも一定の患者数が報告されています。新学期に伴い登校が再開されている学校もあることから、集団生活の中で感染が拡がるおそれがあります。

 感染すると、2〜5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。

 主な感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。子ども同士の接触頻度が高い保育園や小学校などで感染が拡がるケースが多いです。また、家庭内においても兄弟間(姉妹間)で感染することもあります。

 感染の予防には、手洗い、うがい、咳エチケットなどが有効です。

【要注意】季節性インフルエンザ
 インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。

 日本でのインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え、3月頃まで続きます。

 インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。ここ2年ほど、季節性インフルエンザの流行がみられず、新生児や幼児が初めて感染すると重症化しやすいことから、予防接種を受けることで、発症率、重症化率の低減につながると言われています。予防接種を受けてから、抗体ができるまで約2週間かかり、効果は5か月間持続しますので、流行前に早めに接種することを、お勧めします。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長・国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏