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 残暑がきびしい日々が続き、東京都や大阪府では連日最高気温が30度を超えています。お子さんをお持ちのご家庭では、水道水を使用して家庭用プールなどで水遊びをされる方も多いかと思いますが、水道水は衛生面で必要最低限の塩素濃度となっているため、気をつけなければならないこともあるようです。

 その一つが腸管出血性大腸菌感染症です。例年、4〜5月に増え始め、8月から9月にかけて流行のピークを迎える感染症とされています。厚生労働省によると、主な感染経路は、菌に汚染された生肉や加熱が不十分な肉、菌が付着した飲食物からの経口感染、接触感染です。感染すると3〜5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後、血便が出るケースもあります(出血性大腸炎)。また、発病者の中には、下痢など最初の症状が出てから5〜13日後に、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症を発症するといわれています。

 一般的に食中毒として知られていますが、保育園や家庭用のプールで子どもが感染する事例もあるようです。感染症の専門家である、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に話を伺いました。

保育園や家庭用のプールで感染が広がっている

 (安井医師)腸管出血性大腸菌感染症は流行のピークが8月下旬ですが、秋も注意が必要な感染症です。保育園で子どもをミニプールで水遊びさせることもあります。しかし、水道水は飲用のための必要最低限の塩素濃度であるため、プールなどで使用する場合の消毒効果はじゅうぶんではありません。一度水を張ったら入れっぱなしにせず、使いまわしをしないことが重要です。家庭用プールも同様に水道水で使用する際は、早めに取り換えることと、水の使いまわしをしないでください。適量の塩素を入れるか、プール自体も毎回清掃するようにしてください。

 保育園のミニプールで複数の園児が同時に入ってしまうと、その中の一人がプールで下痢をした場合、そこから園児に感染が広がるおそれがあります。2歳以下の子はタライを利用した個人プールにして、水は一度使用したらすぐに捨て、タライもしっかり清掃することが大切です。

腸管出血性大腸菌感染症にり患した場合の保育園の登園の目安

 厚生労働省は保育所における感染症対策ガイドラインで、「り患した場合の登園のめやすは、「医師において感染のおそれがないと認められていること。」である。無症状の場合、トイレでの排せつ習慣が確立している5歳以上の子どもは登園を控える必要はない。5歳未満の子どもでは、2回以上連続で便から菌が検出されなくなり、全身状態が良好であれば、登園可能である。」としています。

 家庭では手洗いの励行や、調理時の温度管理に気をつけるなど、食中毒の予防につとめましょう。特に2歳以下のお子さんは腸管出血性大腸菌感染症にかかると急激に重症化しやすいため、いつもよりお腹の状態が悪いようであれば、かかりつけ医を受診し、早めに休ませるなどの対策が必要です。

感染症予防接種ナビでは、みなさまから腸管出血性大腸菌感染症の経験談を募集しています。

引用:厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」
「保育所における感染症対策ガイドライン」 (2018年改訂版)

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏