半年以上前に更新された記事です。
夏休みシーズンが明け、小中学校や高校などで授業が始まっています。
コロナ禍での学校生活は、教室での授業だけでなく、体育・部活などの集団行動も多く、注意が必要です。
これまでの既存株では、10代の感染例は多くありませんでした。一方、インドを発祥とするデルタ株については、10代や10代未満でも感染例が多く報告されています。
10代の感染者増加 BMI30超えの人は注意
新型コロナウイルス感染症患者の診察にあたる大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、10代以下の感染者の増加について、「新学期が始まる前から、10代での感染者数は、かなりの数に上ります。対面授業や集団行動などを続けていれば、感染者はますます増える。学校はこれまでクラスター発生に対処した経験が少なく、感染対策についても、じゅうぶんでは無い可能性がある」との懸念を示しています。また、10代で入院が必要になっている患者の傾向としては、体重と身長から算出される肥満度を現す指数(BMI)30以上の肥満の人が挙げられるとのことです。基礎疾患が無い場合でも、重症化し入院となる場合があるので注意が必要です。
少ないながらも校内感染事例
全国でも10代の感染者の報告例が相次いでいます。広島県の教育委員会は、8月30日に県立学校に通う生徒など7名が感染したことを発表。これまでに、「学校内で複数人が感染したと考えられる事例は少ないながらあった」とし、各学校には、教室内の換気や消毒の徹底など基本的な感染対策をとった上で、緊急事態宣言中は、「生徒が発熱した場合等の休養の徹底」や「高校の部活動を原則中止」することなどを通知しています。
文部科学省が部活動についてのガイドラインを更新
文部科学省が8月25日に小学校、中学校および高等学校の教育関係者向けに発布した資料では、学校における部活動中における感染リスクの高い活動等の制限のみに限らず、部活動に付随する場面での感染対策の徹底も求めています。<感染リスクの高い活動等の制限等>
・近距離で組み合うことが主体となる活動や身体接触を伴う活動,大きな発声や激しい呼気を伴う活動などを一時的に制限する。
・密集を避けるため活動時間などを工夫するとともに、活動中は大きな声での会話や応援等は行わない。
・用具等については、不必要に使いまわしをしないとともに、こまめに消毒する。
・学校が独自に行う他校との練習試合や合宿等を一時的に制限する。
・大会等の参加に当たっては、大会中はもとより、会場への移動時や会食・宿泊時、会場での更衣室や会議室等の利用時などにおいても、時間差利用、身体的距離の確保、会話の制限を行う。
<部活動に付随する場面での対策の徹底>
・部活動終了後に、車座になって飲み物を飲みながら会話したり、食事を行ったりした際に感染が広がることを防ぐため、部活動前後での集団での飲食は控えるとともに、人との接触を避ける観点から、部活動終了後はすみやかな帰宅を促す。
・部室、更衣室、ロッカールーム等の共用エリアを使用する場合には、短時間の利用とし、一斉に利用することは避け、時間差利用、身体的距離の確保、会話の制限を行う。
・寮や寄宿舎は集団生活を行う場であり、共用施設なども多く、大人数が日常生活を送る場であることから、密になる環境が形成されやすいため、平時から健康管理や感染症対策、感染症発生時の対応について学校医や関係機関と検討し、十分な注意を持って用意をしておく。
<学校全体としての取組>
・活動を認めるに当たって部活動から学校への活動計画書等の提出を求めるなど学校として感染対策を確認する。
・部活動に参加する者が感染した場合に感染の拡大を防ぐため、連絡体制や対応手順を再確認する。
・部活動に参加する者自身による日常的な検温や体調管理などの健康観察の励行を強化し、発熱等の症状がある生徒等は活動への参加を控えるよう周知徹底を図る。
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引用:文部科学省「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言等を踏まえた小学校、中学校及び高等学校等における新型コロナウイルス感染症への対応に関する留意事項について(別添1)」(令和3年8月25日)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
引用:文部科学省「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言等を踏まえた小学校、中学校及び高等学校等における新型コロナウイルス感染症への対応に関する留意事項について(別添1)」(令和3年8月25日)
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏