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 今日から緊急事態宣言対象地域が追加されるなど、各地で感染が広がっています。

 厚生労働省が8月25日に開催した新型コロナウイルス対策の専門家会合によると、デルタ株の流行以降、10代以下の感染者数は増加傾向にあるとの見解を示しています。同資料によると3歳から15歳までの感染場所として最も多かったのが「自宅」であることから、家庭内感染が広がっていると考えられます。

 子どもにも感染が広がっている今、家族として何ができるのか、コロナ病棟で診察にあたる、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に話を伺いました。

Q.子どもが発熱したら

 A.(安井医師)従来株では10歳未満の子どもの感染はあまり見られませんでしたが、感染性の強いデルタ株に10歳未満の子どもたちが感染していることから、熱が出ていたら単なる風邪と思わず、かかりつけ医に相談したり、ためらわずにPCR検査を受けてほしいです。実際、私の働いている病院でも小学1年生のお子さんが熱を出して、最初に診察を受けたクリニックでは風邪との診断でした。数日後に両親ともに新型コロナウイルスの感染が分かり、ワクチンを打っていない父親が重症化して入院したという事例がありました。ですから、子どもが熱を出したら学校を休ませる、保護者も自宅で休むことが必要です。

Q.子どもは感染しても重症化しないと言われていますが

 A.(安井医師)確かに10歳未満の子どもは感染しても重症化しないと言われています。しかし、今後学校が再開し子どもが集団で活動することにより、家庭内感染した子どもから他の子どもへ感染が広がるおそれがあります。ここで問題となるのは、子どもが家庭にウイルスを持ち込み、ワクチンを打っていない大人が感染した場合、重症化することがあります。しかし私の働いている病院ではワクチンを2回接種している方で入院している人はいません。ワクチン接種の効果があらわれていると言えるのではないでしょうか。ワクチンを接種できる年齢の方は感染した際の重症化を避けるためにも、ワクチン接種をご検討いただきたいです。

 発熱や、普段とは違う体調の変化を感じたら、かかりつけ医に相談し、抗原検査やPCR検査を受けさせて確定診断を行いましょう。また、ワクチンを受ける際には、感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について、正しい知識を持った上で、ご本人の意思に基づいて接種をご判断いただきますようお願いします。

引用:厚生労働省「第49回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月25日)」

厚生労働省ホームページ「新型コロナワクチンについて」

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏