RSウイルス感染症の患者報告数の推移 RSウイルス感染症の患者報告数の推移
 RSウイルス感染症の患者数報告数が3週連続で減少しています。

 国立感染症研究所によると、全国約3,000カ所の小児科医療機関から報告された、2021年第31週(8/2〜8/8)の患者数(速報値)は11,018人で、前週から1,676人減少しました。

 地域別にみると、1定点当たりの患者報告数が最も多いのは徳島県(18.39人)で、次いで新潟県(13.35人)、高知県(12.43人)、愛媛県(10.58人)と、いずれも高い水準です。また、香川県(8.64人)も全国で6番目に多いことから、これまで目立った流行がみられなかった四国地方は、今後の推移に注意が必要です。

 一方、今年に入り、早期に流行がみられていた九州地方は、ほとんどの県が低い水準で推移していることから、ピークアウトの傾向が見られます。

 患者報告数の減少が続いているとはいえ、いまだ、観測史上最多と同程度であり、今後も引き続き警戒が必要です。

RSウイルスに感染すると

 RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。通常は感染してから2〜8日、典型的には4〜6日間の潜伏期間を経て発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で済みますが、重くなる場合には、その後咳がひどくなる、喘鳴が出る(ヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がする)、呼吸困難になるなどの症状が現れ、場合によっては、細気管支炎、肺炎へと悪化していきます。低出生体重児や、心臓や肺に基礎疾患があったり、神経や筋肉の疾患があったり、免疫不全が存在する場合には重症化のリスクは高まります。

特に注意すべきは乳児期のお子さん

 乳期、特に乳児期早期(生後数週間〜数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、乳児期早期のお子さんがいらっしゃる場合には、感染を避けるための注意が必要です。特に、生後1か月未満のお子さんがRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。

感染を防ぐためには

 感染経路は飛沫感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児です。0歳児と1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくても、咳などの呼吸器症状がある場合は飛沫感染対策としてマスクを着用することが大切です。

 接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒しましょう。また、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生を徹底し、タオルの共用も避けましょう。

夏休み中の接触に注意


 RSウイルス感染症は年齢を問わず、何度も感染と発病を繰り返します。再感染以降では風邪に似た症状や気管支炎症状のみである場合が多いため、RSウイルス感染症であるとは気付かれない年長児や成人も存在しています。

 乳幼児への感染を防ぐため、咳などの呼吸器症状がある年長児や成人は、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けてください。もちろん、子ども同士があつまる場所なども避けることが望ましいです。

 特に、多くの学校が、夏休み期間中であることから、年長児と乳幼児が接する機会も増えると思いますが、流行地域においては、感染のリスクをじゅうぶんに考慮してください。

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取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
引用:厚生労働省「RSウイルス感染症Q&A」