全国の新規陽性者数の推移(厚生労働省HPより) 全国の新規陽性者数の推移(厚生労働省HPより)
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 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に歯止めがかかりません。各地で新規感染者数が過去最多を更新しており、全国で1万人を超える日が続いています。

 全国的な感染拡大をうけ、8月20日から緊急事態宣言の対象地域に、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県が追加されます。また、まん延防止等重点措置についても、宮城県、富山県、山梨県、岐阜県、三重県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、鹿児島県が追加されることになりました。期間はいずれも9月12日までです。

 緊急事態宣言が延長される大阪府で、新型コロナ入院患者の診療にあたる、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に取材しました。

大阪の医療現場の現状 デルタ株の置き換わりを実感

 現在の感染拡大の要因は、感染力が強いデルタ株による影響と思われ、置き換わりが進んでいることを実感しています。実際、私が勤務する病院でも、日に日に入院患者が増えており、その多くは40〜50代の働き盛りの世代です。

 大阪府も緊急事態宣言が延長されるようですが、デルタ株がまん延することで、今後もまだまだ感染者は増えると予測しています。

デルタ株の特徴 今後はお子さんから家庭内に拡がるケースも

 既存株や変異株に比べ、ウイルス量が多いことが、デルタ株の特徴であると言えるでしょう。これまでは、感染してから2〜3日がもっとも感染させるといわれてきましたが、実際、デルタ株に感染した方を診ると、発症から7日経っても、ウイルス量が減っていない印象です。ウイルス量が多いということは、周りへの感染性が高いということです。そして、感染者がウイルスを排出する期間が長いということは、症状が現れる前に多くの人にうつしている可能性が考えられます。

 これだけ感染力が強いデルタ株が全国に拡がると、止めることは容易ではありません。これまで感染者が多かった大人のみならず、10代以下のお子さんの世代でも感染が拡がる恐れがあります。特に、これから夏休みが明け、新学期が始まるお子さんの学校で集団感染が発生し、お子さんから家庭内に持ち込まれるケースも増えると危惧しています。

ワクチンの重要性 接種後も感染対策の継続を

 現在の流行の中心は、ワクチンの接種が済んでいない20〜30代の若い世代の方たちです。仕事などで人と会う機会も多く、行動範囲も広いため、感染すると、あっという間に拡げていると考えられます。

 自分だけはうつらないと思っていませんか。自分が感染することで、周囲に拡げる可能性を想像していますか。自分自身だけでなく、家族や友人など大切な方を守るため、今は全力でウイルスの拡散を抑えることが大切であり、極力、外出や会食など人が集まる場所は避けるべきです。

 ワクチン接種が進んでいるとはいえ、若い世代の接種はじゅうぶんとは言えません。また、ワクチンを接種していても、感染しないわけではなく、周囲にうつさないわけでもありません。ただ、ワクチンを接種している高齢者が入院していないことから、ワクチンには重症化を防ぐ効果があると言えるでしょう。ワクチン接種が進んでいなければ、既に今頃は医療崩壊していただろうと想像できます。

 ワクチンを接種した方も、感染している可能性を考え、手指衛生とマスクの着用を忘れず、感染対策を続けましょう。早くも、3回目の接種について検討されているようですが、より多くの方が2回のワクチン接種を終えることが重要だと思います。

◇感染症予防接種ナビでは、新型コロナウイルスに感染した方や新型コロナワクチンを接種した方からの経験談を募集しています。

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長・国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員・安井良則氏