2018年改訂版 保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)より 2018年改訂版 保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)より
 厚生労働省は、「乳幼児期の特性を踏まえた保育所における感染症対策」についてガイドラインを発表しています。乳幼児をお持ちの親御さんが気になるのは、保育所などへの登園の目安と症状ではないでしょうか。今回は「咽頭結膜熱」についてです。

 咽頭結膜熱は、主にアデノウイルス3型に感染することによってみられる急性ウイルス性感染症で、別名プール熱とも呼ばれています。発熱、咽頭炎、結膜炎が主な症状です。特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。なお、「プール熱」という名前から、プールに入ったら感染するなどというイメージを持っている方もいますが、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水を介して感染することはほとんどありません。

 学校保健安全法施行規則では、第二種の感染症に位置づけられており、主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とされています。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません。

感染症発生動向

 咽頭結膜熱は、通常夏期に地域全体で流行し、6月頃から徐々に増加しはじめ、7〜8月にピークを迎えます。国内の感染症発生動向調査からみると、過去は夏期に流行の山がみられ、数年おきに流行規模が大小していましたが、2003年から冬季にも流行のピークが明確にみられるようになりました。季節を問わず、発生しますが、病院や保育園や学校などでも報告されています。季節性流行の場合は、学童年齢の罹患が主であるとされているが、感染症発生動向調査での罹患年齢からは、5歳以下が約6 割を占めています。

症状

 発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)の3つが主な症状です。発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎にともなう結膜充血、眼痛、羞明(まぶしさ)、流涙、眼脂(目やに)を訴え、3〜5日間程度持続します。眼症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも出現します。また、結膜の炎症は下眼瞼(下まぶた)結膜に強く、上眼瞼(上まぶた)結膜には弱いとされる。眼に永続的な障害を残すことは通常はありません。潜伏期は5〜7日とされています。ただし、生後14日以内の新生児に感染した場合は、全身性感染を起こしやすいことが報告され、重症化する場合があることが報告されています。

感染経路

 咽頭結膜熱の感染経路は、通常飛沫感染あるいは手指を介した接触感染であり、結膜あるいは上気道からの感染です。原因であるアデノウイルスの感染力は強力です。直接接触だけではなくタオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接接触でも感染が広がります。

予防・治療方法

 特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼症状が強い場合には、眼科的治療が必要となることもあります。

 よく手を触れるものを中心に消毒を行う場合、消毒薬としては次亜塩素酸ナトリウムを 500〜1000ppm 程度に薄めて使用することが推奨されます。接触感染対策として最も重要なことは手指衛生で、流水・石鹸による手洗いが最も効果的です。

登園の目安

 登園の目安は、「発熱、充血等の主な症状が消失した後2日を経過していること」です。

 保育所は、乳幼児が集団で長時間生活を共にする場です。感染症の集団での発症や流行をできるだけ防ぐことで、一人一人の子どもが一日快適に生活することが大切です。

 登園を再開する際は、各保育所の取扱いによっては、「意見書(医師が記入)」の提出が必要となる場合があります。お子さんの登園に不安のある場合は、かかりつけ医への相談をおすすめします。

※意見書は、一律に作成・提出する必要があるものではありません。

感染症予防接種ナビでは、みなさまから咽頭結膜熱の経験談を募集しています。

文:感染症ニュース取材班

引用:厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
国立感染症研究所「咽頭結膜熱とは」