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 新型コロナワクチンの接種が各地で進んでいます。

 内閣官房によると、6月17日現在の全国の高齢者等の接種率は、1回目が12.05%、2回目が3.05%で推移しています。また、一部の企業で社員や家族を対象に接種が開始されたり、今後大学での接種も開始する見通しなど、高齢者に限らず、64歳以下の方への接種も加速の動きをみせています。

 一方、ワクチン接種を希望する多くの人が心配されているのが「接種後に発熱や痛みの症状が現れた時に、解熱鎮痛剤を使用してもよいのか」ということではないでしょうか。

 日本感染症学会は、「接種後の発熱や痛みに対してアセトアミノフェンや非ステロイド性解熱鎮痛薬を使用することは可能である」と提言しています。また、厚生労働省によると、「ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬で対応いただくことも考えられる」とされています。このことから、ワクチン接種後に発熱等の症状が治まらない場合には、処方薬のみならず市販の解熱鎮痛剤を使用しても問題ありません。ただし、ステロイド性の解熱鎮痛剤については、免疫が抑制される恐れがあるため、ワクチンを接種するうえでの使用は、避けるべきです。

 加えて、予防内服として、発熱や痛みなどの症状が現れる前に、解熱鎮痛剤を使用することも、望ましくないとされています。症状が現れる前に薬を使用することで、ワクチンの免疫原性(免疫反応を引き起こす性質)が低下する可能性が考えられるためです。

 なお、厚生労働省は、ワクチン接種後の解熱鎮痛剤の使用にあたり、特に以下のような方は、主治医、薬剤師や登録販売者に相談するよう呼び掛けています。

 ・他のお薬を内服している場合や、病気治療中の場合
 ・激しい痛みや高熱など、症状が重い場合や、症状が長く続いている場合
 ・ワクチン接種後としては典型的でない症状がみられる場合

 新型コロナワクチン接種後には、一時的に接種部位の痛みや発熱、頭痛、倦怠感などの症状が現れることがあります。これは、体がワクチンに反応しているためと理解したうえで接種することが大切です。

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引用:内閣官房「新型コロナワクチンについて 高齢者等の接種状況」
一般社団法人日本感染症学会 ワクチン委員会「COVID-19 ワクチンに関する提言」
厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長・国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員・安井良則氏