5月に注意してほしい感染症 について、流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。

【No.1】新型コロナウイルス感染症
 最も注意してほしいのは、関西を中心に流行しているウイルスの「変異株」の全国的なまん延です。大阪では、ほとんどが従来株から変異株に置き換わっており、今後は全国各地でも変異株による感染が拡大していくものと思われます。この変異株の特徴は、これまでの従来株より感染力が強く、職場や家庭内でも感染しやすいことです。加えて、重症化する年代の多くが40〜60代と、これまでの従来株で重症化しやすいとされていた高齢者だけではなくなったということです。

 新型コロナウイルスが流行して1年以上が経過しましたが、ここに来て「変異株」という、これまでで最も強力な敵が現れてしまいました。これまでと同じ対策をしていては、簡単に感染し拡げてしまう恐れがあります。一人ひとりが自分事として捉え、全力で感染を抑えることが必要です。そのためには、出来る限り外出を控え、今まで以上に手指の衛生やマスクの着用を徹底しましょう。

【No.2】RSウイルス感染症
 西日本を中心に患者報告数が急激に増加しており、季節外れの流行をみせています。新型コロナウイルスの影響からか、この1年間流行がみられなかった為、かかった経験がないお子さんも多いと思われます。今後、全国的に拡がる可能性もあるため、感染症の発生動向に注意が必要です。

 RSウイルス感染症は乳幼児に注意してほしい感染症で、特に1歳未満の乳児が感染すると重症化しやすいです。特徴的な症状である熱やせきは、新型コロナウイルス感染症と似ており、見分けがつきにくいです。小さなお子さんに発熱や呼吸器症状がみられる場合は、かかりつけ医に相談してください。

 感染経路は飛沫感染や接触感染です。ワクチンはまだ実用化されていないため、手洗い、うがい、せきエチケット(マスクの着用)を徹底し、予防しましょう。ご家族以外にも、保育士の方など、乳幼児と接する機会がある人は特に注意が必要です。

【No.3】A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は小児の集団生活で気をつけてほしい感染症です。子ども同士の接触頻度が高い保育園や小学校などで感染が拡がるケースが多いです。また、家庭内においても兄弟間(姉妹間)で感染することもあります。

 感染症発生動向調査によると、例年、冬期および春から初夏にかけての2つの流行が認められています。ゴールデンウイークの連休が明け保育園や小学校が再開し、夏のピークに向け感染者数が増加する可能性があります。

 感染すると、2〜5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。

 主な感染経路は、せきやくしゃみなどによる飛沫感染と、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。

 ワクチンは、まだ実用化されていません。感染の予防には、手洗い、うがい、せきエチケットなどが有効です。

【No.4】咽頭結膜熱
 咽頭結膜熱は、別名プール熱とも呼ばれ、春から夏にかけて流行します。例年の流行のピークは6〜7月で、5月は患者報告数が急増する時期です。

 咽頭結膜熱は、主にアデノウイルス3型に感染することによってみられる急性ウイルス性感染症です。

 発熱、咽頭炎、結膜炎の3つが主な症状です。通常感染してからの潜伏期間は5〜7日。症状がある期間は3〜5日といわれています。特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となります。眼の症状が強い時には、眼科的治療が必要となることもあります。

 感染経路は、主に接触感染です。原因となるアデノウイルスの感染力は強力であるため、直接接触だけではなく、タオル、ドアの取っ手、階段やエスカレーターの手すり、エレベーターのボタン等の不特定多数の人が触る物品を介した間接接触でも感染が拡がります。

 感染対策として、最も重要なことは手指の衛生であり、流水・石鹸による手洗いが最も効果的です。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏