4月に注意してほしい感染症 について、流行の傾向と感染対策を見ていきましょう。

【要注意】新型コロナウイルス感染症
 2度目となる緊急事態宣言が全国で解除され、各地で感染の再拡大(リバウンド)がみられます。

 また、多くの地域で確認されているウイルスの変異株にも注意が必要です。この変異株について分かっているのは、既存のウイルスに比べ10代以下の感染者が多いということです。これまでは40代から50代の男性が家庭内に持ち込むケースが多くみられましたが、今後はお子さんを経由して家庭内感染することも増えるかもしれません。

 基本的な感染予防策である、3密の回避、マスクの着用、手洗いに加え、学校・保育園・幼稚園などの新たな感染経路に対しても注意が必要です。

【No.1】RSウイルス感染症
 例年、夏から秋にかけて流行しますが、今年に入ってから感染者数の増加がみられ、季節外れの流行となっています。今後の推移に注意が必要です。ここ数年は大きな流行が見られなかったため、初めて感染するお子さんも多く、一度流行すると長期に渡る可能性が高いです。特に乳幼児を持つご家族は、お子さんの健康状態に変化を感じたら、早めにかかりつけ医などに相談しましょう。

 RSウイルスに感染すると、発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続き、初感染した小児の20〜30%にその後、下気道症状があらわれると言われています。乳幼児期においては特に注意が必要な疾患であり、生後数週間〜数か月間の時期においては、下気道の炎症を中心とした重篤な症状を引き起こすことがあります。

 感染経路は飛沫感染と接触感染です。咳などの呼吸器症状がある場合は、飛沫感染対策としてマスクを着用して子どもたちに接することが大切です。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃや手すり等をこまめにアルコールや塩素系消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗い又はアルコール製剤による手指の衛生を徹底してください。

【No.2】A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症) は学童期の小児に最も多く、学校などの集団生活で気をつけてほしい感染症です。春休みが明け、新学期が始まることで感染者数が増加する可能性が考えられます。

 感染すると、2日から5日の潜伏期間の後に発症し、突然38度以上の発熱、全身の倦怠感、喉の痛みなどが現れ、しばしば嘔吐を伴います。また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発疹が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。

 主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。

 ワクチンは、まだ実用化されていません。感染の予防には、手洗い、うがい、咳エチケットなどが有効です。

【No.3】ロタウイルス感染症
 ロタウイルス感染症は、年齢にかかわらず何度でも感染しますが、4〜5歳までにほとんどの子どもが感染します。現在は、ワクチンの普及により感染者数自体は減っていますが、近年は3月〜5月に流行のピークを迎えるため、動向には注意してください。

 主な症状は、嘔吐と下痢、発熱です。初感染時が最も重症で、その後感染を繰り返すにつれて軽症化し、不顕性感染(感染しても症状が出ないこと)も多くみられます。嘔吐は特徴的症状で突然起こり、これを契機に医療機関を受診するケースが多く見られます。下痢は水様性から泥状です。罹患児の半数近くにみられる白色〜黄白色便は特徴的ですが、同様の色調はノロウイルス感染症についてもみられるため注意が必要です。発熱の持続は2日を超えることは少なく、多くが半日〜1日です。

 間接接触による感染が多いことから、罹患児の隔離、感染源である糞便やおむつの適切な処理、衛生的な手洗い(特に、母親と医療従事者)、汚染された衣服の次亜塩素酸消毒などを徹底する必要があります。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏