半年以上前に更新された記事です。

最新の感染症ニュースはこちらから

 新型コロナウイルスという未知の脅威と戦い続けた2020年。全国的な感染拡大が止まらないまま、まもなく終わりを迎えます。例年であれば、普段は会えない人たちと接する機会が増える「年末年始」ですが、新型コロナウイルスは人の移動に伴い拡散される可能性が高いことから、可能な限り不要不急の外出は控え、会食など人が集まる行事は避けましょう。このままの状況が続けば、医療崩壊が起きてしまう危機的状況にあることを認識し、これ以上感染を拡大させないために自分に何ができるか考えてみてください。自分も感染しているかもしれないと意識して行動することで、多くの人の命を救う事に繋がります。

感染リスクが高まる5つの場面

 新型コロナウイルス感染症対策分科会より感染リスクが高まる「5つの場面」として

【場面1】飲酒を伴う懇親会等
【場面2】大人数や長時間におよぶ飲食
【場面3】マスクなしでの会話
【場面4】狭い空間での共同生活
【場面5】居場所の切り替わり

 が提言されています。

 また、「飲酒の場面も含め、全ての場面でこれからも引き続き守ってほしいこと」として

・基本はマスク着用や三密回避。室内では換気を良くして。
・集まりは、少人数・短時間にして。
・大声を出さず会話はできるだけ静かに。
・共用施設の清掃・消毒、手洗い・アルコール消毒の徹底を。

 が挙げられています。

いわゆる「飲み会」における集団感染事例について

 国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP)は、今後の新型コロナウイルス感染症の対策に資する情報提供を目的として、これまで関わった実地調査支援活動結果の中から特定の場所・状況下における感染伝播の状況について、いわゆる「飲み会」における集団感染事例を発表しています。

 調査結果の考察として、いわゆる飲み会の事例では

・客-客間の伝播が多く見られる
・十分な距離を保てない状況下での飛沫による伝播
・発症者が同グループの同席に存在したこと
・店内の換気不良および人が密な空間での飲食等によって感染した

 とみられる事例を認めており、「飲酒そのものが感染リスクを上げるわけではない。一方で、一般的にいわゆる飲み会ではしばしば宴会や催し等の場合に参加者の増加や開催時間が長くなることによる接触機会の増加が見られる」とし、これらの特性および今回分かったことを通じて、今後の感染対策として、一般的な感染対策であるマスク着用、手指衛生、従業員の健康管理、身体的距離の確保、店内のこまめな換気の実施等に加え、客側と従業員側、両方の立場に対して次のとおり提言しています。

【客】
・客-客間での感染伝播が主であることから、体調不良者、または少しでも異変を感じる場合はイベントや宴会に参加しない
・自らが感染源になるリスクを極力おさえるため、日頃から感染機会(3密)を避け、正しいマスク着用、手指衛生を心掛ける
・回し飲み(通常飲用に用いる容器の共用)を行わない
・不要な従業員や別グループへの接触を避ける

【従業員】
・客同士が密集しないような店内レイアウト・座席配置の工夫(特に宴会・イベント時)
・席移動の制限

引用:国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP)「いわゆる『飲み会』における集団感染事例について」

最後に

 感染者を必要以上に非難・批判したり、差別的に扱うことは、感染状況の調査に悪影響を与えるだけでなく、社会的な息苦しさや不必要な不安を生み出すことになるため、やめましょう。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏