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カンピロバクターに気をつけよう カンピロバクターに気をつけよう
 感染症・予防接種ナビ に2020年4~5月に寄せられた、閲覧者からの経験談を紹介します。今回は、カンピロバクターです。原因と考えられる鶏肉などを食べてから3~4日後に発症するケースが多く見られました。ここで紹介する以外にも多くの経験談が寄せられています。

 一般に細菌性の食中毒は、夏期に多発し、冬期に減少すると言われています。カンピロバクターによる食中毒は、5月~10月の間、患者数の増加が見られています。近年、日本国内で発生している細菌性食中毒の中では最も発生件数が多い食中毒と言われており、把握されているだけでも毎年2000人前後の患者数が見られています。カンピロバクターは、にわとり・牛などの家畜やペット、野生動物など多くの動物が保菌しています。特に最近では、加熱が不十分あるいは生の鶏肉を食べることによって発生する、食中毒が多数報告されています。特にこれからの季節、生肉あるいは加熱不十分な肉類を食べることは、できるだけ避けてください。

カンピロバクターとは

 カンピロバクター属は家畜や家禽(鳥類に属する家畜のこと)の腸管や生殖器に感染する微生物です。1970年代にヒトの下痢症の原因であることが確認され、感染性腸炎の原因菌として広く認識されるようになりました。食中毒集団発生で原因食品が判明した事例では、肉類が最も多く、大半は鶏肉およびその内臓肉です。一方、牛レバーの生食による例も見られます。症状は下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の感染型細菌性食中毒と酷似していますが、カンピロバクターは1日最高便回数が多く、血便を伴う比率も高いことが特徴です。加熱には弱いので、食品の正しい加熱調理に努めるとともに、調理などの過程で他の生鮮食品や調理器具の汚染に注意しましょう。鶏肉などを取り扱う場合は調理する人の手洗い、まな板などの調理器具を清潔に保ちましょう。特に乳幼児には鶏刺し、砂ずり刺し、牛レバー刺しなどの生食はさせないようにすることが重要です。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏

<おことわり> 以下で紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。当サイトとして内容を推奨するものではありません。

経験談1 鳥刺しが原因か お子さん3人が感染

 家族で焼き鳥屋さんに行ったお子さん3人(17歳、12歳、9歳)の経験談です。原因は「鳥刺し」と推測しています。3人とも3日後に発症、悪寒、発熱、関節痛、頭痛、倦怠感、下痢、吐き気といった症状があったようです。脱水がひどかったようで、医療機関を受診して対処をされています。

【経験談】
 土曜日の夜、家族5人で鳥刺しを食べる。
 火曜日の昼まで特に異常なし。
 火曜日の昼過ぎに私(17歳)と弟(12歳、9歳)が同時に
 頭痛と寒気、腹痛を発症。
 両親は異常なし。
 夜になるにつれ、悪寒がひどくなるとともに発熱、関節痛、頭痛、倦怠感、下痢、吐き気を催す。
 夜中には41度程の熱が出て、寝るに寝られず、トイレに何度も行っては水っぽい 下痢が出る。
 水分は摂ってもすぐに出ていくため、脱水になる。
 水曜日にはほとんど何も食べられず、唯一食べたゼリーは全て戻す。
 夕方、コロナやインフルエンザを疑い医療機関を受診し、感染性胃腸炎と診断され、ある意味安心する。
 脱水がひどかったため、点滴をうってもらい、抗生剤と整腸剤、解熱剤を処方していただき、帰っておかゆとスープを飲んだことでびっくりするほど回復へ向かう。
 木曜日、まだ下痢は続くが昨日に比べれば大分回復し、食事も取りやすくなる。しかし起き上がるときに倒れそうになるほどの頭痛に襲われる。一日中横になっていたらほとんど回復した。
◎発症したばかりの人におすすめしたいこと
 ・左腹を下にして寝ると腹痛が和らぐ
 ・ゼリーだけを食べて吐くとそんなにしんどくないし臭くない
 ・点滴を打ってもらうと楽になる
 ・下痢止め薬は飲まないほうが早く回復する
 もう二度と鳥刺しは食べません。生肉もです。今思えばインフルエンザより胃腸炎のほうがしんどかったです。鶏肉は加熱すること、手洗いをしっかりすることを肝に免じました。
 みなさんもどうかお大事に。

経験談2 スーパーで購入し家で調理した鶏胸肉でも 生焼けに注意

 29歳の方で、蒸し焼きにした鶏胸肉の中央が少し生焼けだったのが原因と考えられています。3日後に異変に気付き、その後、発熱、胃痛、下痢、脱水の症状があったようです。

【経験談】
 3/29 スーパーで購入した鶏胸肉を蒸し焼きにして夕食として家族と食べる。自分の分に少し中央が生焼けの部分があったがそのまま気にせず食べる。
 4/1 起床すると胃痛と身体の怠さがあることに気づく。トイレに行ったときに出すつもりはなかったのにお腹に少し力を入れただけで水様便が出たため何か変だと思う。
 4/2 仕事に行くが身体が怠く職場で測ったら38.4度あったため早退させてもらう。お腹がグルグルしていたが、仕事ということもあり我慢していたら治る程度。胃痛はずっと続いている。
 そのまま受診したが、鶏胸肉のことは思い付かず伝え忘れたため、診断は急性胃腸炎でしょうと。整腸剤と解熱剤を処方されて帰宅。自宅に着いたことでお腹が安心したのか、トイレ→水様便→30分ほどでトイレの繰り返しに。解熱剤を飲んでも熱は下がらず38度台のまま。食事はウィダーインゼリー一個のみ。身体の節々が痛くて(特に両足)その夜は気絶するように寝ては起きてトイレに行くのを繰り返す。夜中には脱水になったのか、トイレで立ち上がった時に目の前が真っ白になり、危うく倒れそうに。これではいけないと、白湯ではなく常備であったカルピスをよく薄めて飲んで過ごす。この時にカンピロバクターの可能性を思いつく。
 4/3 朝まで寝た気がしないまま過ごし、頭痛と足の痛みが強かったことから、解熱鎮痛薬だけでも飲みたいとゼリーを食べて薬を飲む。倒れるように寝て2時間くらい眠れた(発症してから初めて熟睡したと思う)ので、熱を測ってみたら36.8度。足の痛みも回復しており、空腹感も出てきたため、素うどんを食べる。食後11時すぎより、また下痢と発熱(38.6度まで振り返していた)が現れ、また症状が出てくる。それでも、下痢の回数は夜中に比べて落ち着き、水分をとると出る程度に。カンピロバクターという確証をもっていたので、こまめに水分をとって無理にでも下すようにしていた。夜には数時間に一回の回数に落ち着く。熱はまだ高く38度台。それでも、夜中にも一度起きたくらいで熟睡できた。
 4/4 下痢は完全に治ったが、身体の怠さと38度の熱が続く。それでも携帯をいじったり、家事はできなくても掃除が気になったりするだけの気力は出てくる。この日も1日寝て過ごし、解熱剤なしでも夜には37.6度まで下がる。

 書いているのが4/5なので、まだ発熱は続いています。足の痛みは解熱剤を飲んでしばらくは楽になりますが、すぐにまた怠さと関節痛が振り返し、寝ているとき以外は常に意識している状態です。鶏肉には十分注意して調理していきたいと思います。

経験談3 新型コロナウイルス感染症の影響で 受診を断られたケースも

 24歳の方で、居酒屋の鳥刺しが原因と考えられています。4日後に発症。発熱や腹痛があったものの、新型コロナウイルスの感染拡大時期だったため、内科で診察を断られたり、電話連絡をすることに疲れてしまうなどで、医療機関での受診を諦めてしまったそう。幸い、症状は回復に向かっているとのことです。

【経験談】
 4/4 夕方までは普段通りに過ごす。19時ごろ寒気があった為、検温すると38.2℃。特にしんどさもなく眠りにつくが、深夜になりひどい寒気と全身の震えで眠れなくなり解熱剤を服用。
 4/5 寝たり起きたりの状態で熱は38.7℃に。夕方頃になり、腹部に痛みを伴う。1分間程度胃や腸を握りつぶされるような痛みが10分から30分間隔でくる。
 4/6 熱は37.2℃に下がり寒気もなくなったが、腹部の痛みは持続していたため、内科へ電話をするも、コロナの影響で、発熱のあった人は診察できないと断られ、コロナのセンターへ連絡するよう指示される。コロナのセンターへ連絡すると、コロナを疑う症状(味覚臭覚障害や咳、接触歴など)に該当しない為、普通に病院で診察を受けるよう言われる。痛みが持続する中で連絡するのにも疲れ、病院へ行くのを諦める。夜になり、症状から察するに、カンピロバクターを疑う。3/31に鶏刺しを食べていたことから、ほぼ確信。整腸剤を服用し様子を見る。
 4/7 熱は36.8℃。最初お腹の真ん中くらいだった痛みが、左下へ移動しているように感じるが、不規則な痛みの波は持続。深夜に数日ぶりにお腹が空いたと感じることができた。発症時から吐き気や嘔吐はなく、通常通り食事をとる事もできた。医師の診察を受けていないが、症状が回復へ向かっていることから、カンピロバクター腸炎だと推定すると、あと数日経てば治るはず。いまだ、痛みの波は続くが、しばらく“生もの"は控えて安静にする。