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中国国内において流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、日本国内においても患者発生数の増加が見られています。しかし、現時点ではまだ大規模な感染拡大が認められている地域はありません。いま私たちが行うべきことは、新型コロナウイルス感染症について正しい知識を持ち、その感染拡大防止に努めることです。主な感染経路は、飛沫感染および接触感染であり、その予防対策としては、咳エチケットと手洗いやアルコールなどによる手指衛生が最も重要であることに変わりありません。また、国の専門家会議によると、これからの1~2週間によって、急速に流行が拡大するか、あるいは収束していくかの分かれ目であると言われています。不特定多数の人が集まる場所に不用意に行かないことはもちろんですが、自分が発熱や呼吸器症状をきたしている場合は、たとえ症状が比較的軽度であっても、職場や学校など長時間にわたって特定の人と接する場所に行くことをやめ、自宅で休むことを心がけてください。
感染経路と予防・対策
コロナウイルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染です。最も重要な対策は、咳エチケットと手洗い・アルコール消毒など手指衛生を徹底することです。咳エチケットは、個人が咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえることです。原則として空気感染はありません。感染拡大阻止のため私たちにできることは
新型コロナウイルス感染症に感染し発病した場合、大半の例では軽症または中等症までで治っていくと言われています。一方、高齢の方や、糖尿病や呼吸器疾患などの基礎疾患を持った方々は、重症化する場合があると言われています。これからは、重症化する可能性のある方々ができる限り感染しないように守り、万が一感染・発病した場合は、すぐに適切な医療が受けられるようにすることが重要となります。厚生労働省は、2020年2月17日に文書「新型コロナウイルスを防ぐには」を公開しました。手洗いやアルコール消毒といった手指衛生と、咳エチケットが重要で、持病がある人や高齢の人は、できるだけ人混みの多い場所を避けるといった注意喚起がされています。また、発熱等の風邪の症状が見られるときは、学校や会社を休むよう促しています。厚生労働省のホームページの「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」を参照していただき、新型コロナウイルスに感染している疑いがある場合は、帰国者・接触者相談センターに相談して下さい。そのうえで、必要があると認められた場合は、専門の医療機関(帰国者・接触者外来)が紹介されます。
これらのことが大切な理由は、日本国内における新型コロナウイルス感染症の流行を抑制し、たとえ流行が抑えられなくなっても、流行の開始・ピークを少しでも遅らせることによって、医療機関に患者が殺到して地域の医療体制が崩壊したり、重症者に十分な医療が行き届かなくなることによって亡くなってしまう人が増加することを防ぐためです。過度に心配しパニックになることなく、これらの情報を正しく理解し、自身の感染予防と万が一の際の適切な行動につなげることが、いま最も大切です。
■参考リンク:厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
■参考リンク:厚生労働省新型コロナウイルスを防ぐには(2020年2月17日掲載)
■参考リンク:厚生労働省新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏