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図.溶連菌感染症 定点あたり報告数 年次別・週別推移(2018年は第19週まで)<br />監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏 図.溶連菌感染症 定点あたり報告数 年次別・週別推移(2018年は第19週まで)
監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏
 溶連菌感染症が一年でもっとも患者数が増加するのは、5月中旬~6月です。溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌によって引き起こされる感染症です。今後、全国的に流行拡大が予想されるので注意が必要です。

 子どもがかかりやすく、発しんが出る感染症です。主な感染経路は、発症者もしくは保菌者(特に鼻咽頭部に保菌している者)由来の飛沫による飛沫感染と濃厚な直接接触による接触感染です。物品を介した間接接触による感染はまれですが、患者、保菌者由来の口腔、もしくは鼻腔由来の体液が明らかに付着している物品では注意が必要です。患者数は増加しつつあり、これから初夏にかけての流行に注意が必要です。

地域別情報

 2018/5/7~5/13(第19週)の速報データ・定点当たり報告数、多い順
 ・鳥取県
 ・新潟県
 ・北海道
 ・福井県
 ・埼玉県

症状

 溶連菌感染症は、学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人では典型的な症状が現れることは少ないといわれています。

 症状としては2~5日の潜伏期間を経て、38度以上の発熱と全身倦怠感、のどの痛みによって発症し、しばしばおう吐を伴います。

 また、舌にイチゴのようなぶつぶつができる「イチゴ舌」の症状が現れます。まれに重症化し、全身に赤い発しんが広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」になることがあります。また、十分な抗菌薬の投与による治療をおこなわないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを引き起こすことが知られています。

感染経路

 溶連菌感染症は、発症者の咳やくしゃみなどによる「飛沫感染」、細菌が付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」によってうつります。

予防

 予防のためのワクチンは、まだ実用化されていません。

 予防には、手洗い、咳エチケットなどが有効です。

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監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏