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過去7シーズンと今シーズン(2017/2018年シーズン)の 9/10(第36週)~11/26(第47週)までのインフルエンザ推定患者数の週別推移 過去7シーズンと今シーズン(2017/2018年シーズン)の 9/10(第36週)~11/26(第47週)までのインフルエンザ推定患者数の週別推移
 薬局サーベイランスによると今シーズン11月20日~26日の1週間のインフルエンザ推定患者数が流行開始の基準値を上回り、全国的な流行開始となりました。今後は、更に流行拡大と予想しています。

 ※薬局サーベイランスとは、全国およそ1万箇所の薬局での調剤情報を集計することでインフルエンザ患者数を推計する調査(運用:公益社団法人日本医師会、公益社団法人日本薬剤師会、日本大学薬学部薬学研究科、株式会社EMシステムズ共同運用)

流行のようす

 薬局サーベイランス によると、今シーズン(2017/2018年シーズン)の2017年11月20日~26日(第47週)のインフルエンザの推定患者数は37,691でした。前週の値(22,086)よりも大幅に増加し、薬局サーベイランスの全国的な流行開始の基準値(30,000)を上回りました。昨シーズンに続いて、例年よりも早く11月中に基準値を超えています。また、休日明けの月曜日(11月27日)の推定患者数は12,626と今シーズンの1日当りの最多数を更新しており、11月27日(第48週)以降もインフルエンザ患者数が更に増加していくと予想しています。

都道府県別情報

 2017年11月20日~26日(第47週)の人口1万人当たりの1週間の推定患者数の多い順
 ・福井県
 ・石川県
 ・北海道
 ・沖縄県
 ・栃木県
 ・宮崎県
 ・長崎県
 ・大分県
 ・広島県

累積患者数

 2017年9月10日(第36週)~11月26日(第47週)までの累積の推定患者数は143,278です。

年齢群別情報

 ・ 5~ 9歳(19.8%)
 ・ 0~ 4歳(13.0%)
 ・40~49歳(12.3%)
 ・30~39歳(12.0%)
 ・10~14歳(11.9%)

 10歳未満の年齢層の割合が高くなっています。

ウイルスの型

 国立感染症研究所感染症疫学センターの病原微生物情報によると、今シーズンこれまでのインフルエンザ患者由来検体から検出されたインフルエンザウイルス(243検体解析)は、
 ・A/H1pdm(40.7%)
 ・A/H3(A香港)亜型(34.6%)
 ・B型(24.7%)

 今シーズン初めてA/H1pdmがA/H3の検出数を上回っています。

インフルエンザの概要

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられています。日本でのインフルエンザの流行は、例年11月下旬から12月上旬にかけて始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎え、3月頃まで続きます。

 インフルエンザの予防には、予防接種を受けることが有効です。予防接種を受けることで、発症率、重症化率の低減につながると言われています。予防接種を受けてから、抗体ができるまで約2週間かかり、効果は5か月間持続します。流行前に早めに接種することをお勧めします。

症状

 インフルエンザは、1~4日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続きます。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴です。

主な感染経路

 くしゃみ、咳、会話等で口から発する飛沫による飛沫感染が主な感染経路です。他に接触感染もあるといわれています。

インフルエンザの感染対策

 飛沫感染対策として、咳エチケット。接触感染対策としての手洗いの徹底が重要であると考えられますが、たとえインフルエンザウイルスに感染しても、全く無症状の不顕性感染例や臨床的にはインフルエンザとは診断し難い軽症例が存在します。これらのことから、特にヒト-ヒト間の距離が短く、濃厚な接触機会の多い学校、幼稚園、保育園等の小児の集団生活施設では、インフルエンザの集団発生をコントロールすることは、困難であると思われます。

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏